【7/18】見ごろの植物(ハマオモト、フウセントウワタ、ユウスゲ)を更新しました
蒸し暑い園内ですが、夏にも負けずに多くの植物が花を咲かせています。水分・塩分の補給を忘れずに園内散策をしてみませんか。本館や展示館など冷房が効いた屋内での休憩もお忘れなく。
それでは今週も園内で見ごろとなっている植物をご紹介します。

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
ハマオモト(ヒガンバナ科) Crinum asiaticum L. var. japonicum Baker


土佐の植物生態園で白い花を咲かせています。別名であるハマユウという名前のほうが有名かもしれません。冬の霜や寒さで地上部が腐ってしまうこともありますが、毎年立ち直って美しい花を咲かせてくれています。花には芳香があるので、ぜひ顔を近づけて香りを嗅いでみてください。本種は関東南部から沖縄までの海沿いの砂地に育つヒガンバナの仲間で、国外では中国や台湾、マレーシア、インドなどで見られます。本種は海沿いの環境に適応した「海浜植物」であり、花が終わるとできるコルク質の白くて大きな丸い種子は乾燥に強く、日照り続きの砂浜の上で乾いてしまっても容易に発芽します。また、波に流された際はプカプカ浮かんで海流に乗り、遠く離れた場所まで運ばれます(海流散布)。
フウセントウワタ(キョウチクトウ科) Gomphocarpus physocarpus E.Mey.




ふむふむ広場のふれあいの庭で白色の花を下向きに咲かせています。南アフリカ原産で、日本では霜などで枯れるため一年草として扱われますが、原産地では木質化し亜低木となります。乳白色の花も愛らしいですが、花後にできる風船のように膨らんだ果実が好まれ、切り花など観賞用によく用いられます。果実には絹糸状の冠毛がついた種子がたくさん格納されていて、果実が熟して割れると種子が風に乗って飛んでいきます。
話が横道にそれますが、カバマダラという蝶の幼虫は本種を好んで食べます。カバマダラは国内では奄美諸島や沖縄など南方に生息していますが、時折、台風で本土まで飛ばされたものが観賞用に育てられたフウセントウワタの畑にたどり着いて大発生し、虫界隈のニュースになることがあります。おしべとめしべが合着したずい柱を囲むように紫色の副花冠があり、蜜を溜めます。アリやチョウの吸蜜を観察できます。
ユウスゲ(ワスレグサ科) Hemerocallis citrina Baroni var. vespertina (H.Hara) M.Hotta



北園の芝生広場を下った先や、南園の蛇紋岩植生園に植栽されています。本種は本州、四国、九州、朝鮮半島に分布し、山地の草原や林縁などのやや乾いたところに生えます。ノカンゾウやゼンテイカ(別名:ニッコウキスゲ)などの仲間(ワスレグサ属)で、花は一日花と寿命が短いものの美しいため多数の園芸品種があります。本種の花は昼間に観察できません。夕方ごろから淡黄色の花が咲き始め、翌日の午前中にしぼんでしまう、“夜咲く花”なので、開園すぐや閉園間際に観察してみてください。高知県では蛇紋岩地でのみみられ、個体数も限られます。関東から西の多くの府県で絶滅が危ぶまれており、高知県レッドデータブック(2022)では絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。
広報・ガイド班長 西村 佳明
マークの植物名をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。
今週の見ごろの植物
今週の見ごろマップ

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