【8/1】見ごろの植物(ミソハギ、ハブソウ、エビスグサ)を更新しました

蒸し暑い園内ですが、夏にも負けずに多くの植物が花を咲かせています。水分・塩分の補給を忘れずに園内散策をしてみませんか。本館や展示館など冷房が効いた屋内での休憩もお忘れなく。

南園・温室では8月31日(日)まで食虫植物展を開催中です。今週も園内で見ごろとなっている植物をご紹介します。

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

ミソハギ(ミソハギ科)
オオキツネノカミソリ(ヒガンバナ科)
キセワタ(シソ科)
トウテイラン(オオバコ科)
ヒオウギ(アヤメ科)
ネペンテス・トルンカタ(ウツボカズラ)
オジギソウ(マメ科)

ミソハギ(ミソハギ科) Lythrum anceps (Koehne) Makino

葉腋に紅紫色の花が3ないし5個つき、輪生しているように見える。花弁は6枚。
株によって、めしべの長さが異なる3つの花がある(異花柱花性)。
左から①めしべが短いもの ②めしべが中間の長さのもの ③めしべが花冠から飛び出すくらい長いもの

土佐の植物生態園や展示館の中庭、南園各所で見ごろとなっています。本種は北海道から九州、朝鮮に分布する多年草で、水田や田畑の畦など日当たりのよい湿った場所に生育します。花をつけた様子を萩(ハギ)に見立て、水に濡らした本種で精霊棚(しょうりょうだな)の禊(みそぎ)を行ったことから、禊萩が訛ってミソハギになったとされます。旧暦の盆の頃に花をつけ、仏前に供えることから、ボンバナ(盆花)ともよばれます。ミソハギ科の研究をしたキーニ(Koehne)は、Lythrum salicaria L.の変種として扱いましたが、後に牧野博士が種として独立させました。

一つ一つは1センチ内外の小さな花ですが、花をよーく観察してみてください。株ごとに異なる3つの花を咲かせます。わかりやすいように写真のとおり花を分解してみました。おしべは計12本あって、長いものと短いものがそれぞれ6本ずつあります。めしべは1本ですが、その長さが異なり、①12本のおしべよりも短いもの、②長いおしべと短いおしべの間に柱頭があるもの、③12本のおしべよりも長く、めしべが花冠から飛び出すもの、があります。同種でめしべの長さが異なる花をもつ性質のことを異花柱花性といい、本種以外にもアカネ科やモクセイ科などで見られます。8/1に私、西村が観察したところ、土佐の植物生態園の株はめしべが中間のものが、展示館の中庭にはめしべが短いものが、南園の博士像の周辺ではめしべが長いものがそれぞれ多くあるように感じました。小さな花の違いに注目してみてはいかがでしょうか。

ハブソウ(マメ科) Senna occidentalis (L.) Link

エビスグサ(マメ科) Senna obtusifolia (L.) H.S.Irwin et Barneby

薬用植物区では隣り合わせに植えており、8/1現在、互いに黄色の花を咲かせています。ハブソウは北米南部および中米原産で、江戸時代に日本に渡来したとされています。当時はマムシに噛まれた際に本種の葉を揉み、擦り込むと毒を取り去ると信じられていたようですが、実際にはそのような効果はありません。エビスグサは熱帯アメリカ原産で享保年間(1716-1736)に中国から渡来したとされています。ともにマメ科センナ属に属し、花後にできるハブソウの種子を望江南(ボウコウナン)、エビスグサの種子を決明子(ケツメイシ)とよび、それぞれ薬用に用います。

整腸作用や便秘の改善を期待してお茶代わりにして飲むハブ茶はハブソウ(望江南)を用いていると思いきや、エビスグサの種子である決明子(ケツメイシ)を用います。ちなみに日本の音楽グループのケツメイシは決明子に由来しており、3人組のうちのメンバー2人は薬剤師の資格を持っているそうです。エビスグサやハブソウは夜に葉を閉じ、朝には再び葉を開く、「就眠運動(しゅうみんうんどう)」が見られます。今月16日(土)と17日(日)に開催される夜の植物園では夜に葉を閉じる植物のブースもありますので、夜咲く花とともに、まるで眠ったかのように葉を閉じる植物も観察してみてください。

広報・ガイド班長 西村 佳明

マークの植物名をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。

今週の見ごろの植物

モウセンゴケ(モウセンゴケ科)
ネペンテス・トルンカタ(ウツボカズラ科)
タヌキモ(タヌキモ科)
コオニユリ(ユリ科)
オグラセンノウ(ナデシコ科)
フウリンブッソウゲ(アオイ科)
ミソハギ(ミソハギ科)
ヒオウギ(アヤメ科)
ハエトリグサ(モウセンゴケ科)
テバコマンテマ(ナデシコ科)
タキユリ(ユリ科)
サルスベリ(ミソハギ科)
コガネバナ(シソ科)
キセワタ(シソ科)
オジギソウ(マメ科)
オオキツネノカミソリ(ヒガンバナ科)

今週の見ごろマップ

「見ごろ植物マップ&フォト」過去1年分もダウンロードできます。「見ごろカレンダー」のページで確認してみてください

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