ナンバンギセルなどが見ごろです(9/19更新)
ナンバンギセル(ハマウツボ科) Aeginetia indica L.

南園のスイレンやハスが植栽されている池(5号池)そばにある東屋から石階段を降り切ると、正面のシマススキの根元でひっそりと咲いています。9/19現在、咲きはじめです。茎も葉もほとんど地表に出ないため、花茎が伸びてきてようやく存在に気付くことができる植物です。今年も観察できてよかった、と、ほっとしました。本種は北海道から沖縄、中国(中南部・台湾)、インドシナ、マレーシア、インドに分布する一年草で、寄生植物として非常に有名です。葉緑体を持たず、生存と繁殖に必要なすべての栄養を他者に依存しており、日本ではススキによく寄生していますが、熱帯地方ではサトウキビやショウガ属によく寄生し、ここ高知県ではミョウガの畑でも時折観察されます。
古くはオモイグサ(思ひ草)といい、日本最古の和歌集である万葉集にも本種を詠んだ歌があります。万葉の時代から人々を惹きつけるその姿を観察してみませんか。

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
ミズアオイ(ミズアオイ科) Monochoria korsakowii Regel et Maack

土佐の植物生態園の池沼で青紫色の花を咲いています。北海道~九州、東アジアに分布し、湖沼や水田、水路などに生える抽水性の水生植物(一年草)です。



和名の由来はその葉の形にあり、葵(フタバアオイやその近縁種)の葉に似て、水辺で見られることに因ります。花には面白い特徴があります。上の写真のとおり、おしべは姿の異なる2つのタイプ(葯(やく)が黄色の5つと、青紫色が1つ)があり、めしべと青紫色の葯のおしべの位置関係で2つの型の花が存在します。ちょうど鏡に映る像のように位置が反転することから鏡像二型性といい、花の後ろ側からみてめしべが左側の花をL型、右側の花をR型とよびます。L型とR型の花は同じ花茎に混在しているので、その違いを近寄って観察してみてください。
高知県では1892(明治25)年に牧野博士が高知(現・高知市の市街地にあたると考えられている)で採集したものを最後に本種の生育が確認されておらず、高知県レッドデータブック(2022)では絶滅とされています。同じミズアオイ科で、世界の侵略的外来種ワースト100に選ばれているホテイアオイや、水田の強害雑草として知られるコナギなどとは対照的で、本種は水辺の改修工事や除草剤の使用などにより多くの都道府県で絶滅に瀕しており、環境省レッドリスト(2020)では準絶滅危惧(NT)に指定されています。
オオテントウ(テントウムシ科)

オオテントウの体長は1センチを超えており、非常に大きく感じる。

そこから南園方向に少しすすんだところに植栽がある。

ここで、‘見ごろ’とはちょっと違う、昆虫の話題を。みなさんはオオテントウというテントウムシをご存じでしょうか。テントウムシの仲間はアブラムシなど植物を吸汁する害虫を食べるものが多いことから益虫とみなされがちで、その愛らしいフォルムからも好意的に見る方が多い昆虫の仲間だと思います。オオテントウという名のとおり、皆さんが想像するナナホシテントウやナミテントウと比べると一回り大きく、来園者に案内すると大抵の人がその大きさに驚かれます。
オオテントウはホウライチクやその品種であるスホウチクにつくタケツノアブラムシを食べるので、観察するためにはホウライチクやスホウチクを訪ねるのが一番です。回廊を展示館方面へ下って、展示館手前の分岐のあたりにスホウチクが、そこから南園のほうへ進むと両サイドにホウライチクがあります(進行方向左側が道から近くて観察しやすいです)。観察するには、硬く成長した稈(かん)ではなく、新梢の周辺を探してみてください。新梢は稈が柔らかく吸汁しやすいのかアブラムシのコロニーはその周辺に多く、オオテントウもその付近にいることが多いです。9/19現在、オオテントウの卵も観察できました。※園内では昆虫を含む動植物の採集はできません。観察だけに留めてくださいね。
広報・ガイド班長 西村 佳明
見ごろの植物
2025年9月 3週目
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見ごろマップ
2025年9月 3週目

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