ジョウロウホトトギスの花が咲きました(10/17更新)

ジョウロウホトトギス(ユリ科) Tricyrtis macrantha Maxim.

ジョウロウホトトギス(10/17撮影)
下垂し黄色の釣り鐘状の花を咲かせる(10/17撮影)

当園の秋の人気者、ジョウロウホトトギスが回廊にて見ごろとなりました。今年はあまりにも短い梅雨と酷暑の影響もあって葉の傷みが目立つ株もありますが、状態の良い株もありますので、ぜひこの機会にご覧ください。本種は高知県の石灰岩地でのみ見られる希少種で、山中の岩肌から垂れ下がるように生えます。牧野博士が23歳のとき、高知県越知町にある横倉山で発見、採取した標本をロシアのマキシモヴィッチ博士に送って、マキシモヴィッチ博士が新種として学名を発表しました。和名は、気品あるその姿を上臈(じょうろう:位の高い女官のこと)に見立てたことに因ります。牧野博士が和名を付けましたが、植物分類学の世界では、あくまで学名をつけた人が命名者。したがってジョウロウホトトギスは、牧野博士が発見したものの、命名者ではありません。牧野博士は自費出版した初の著作『日本植物志図篇』の巻頭図に自身が描いた本種の図を選ぶほど、強い思い入れがあったようです。

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

アキギリ(シソ科)
ソナレノギク(キク科)
スイフヨウ(アオイ科)
アリストロキア・トリカウダタ(ウマノスズクサ科)
オオクサボタン(キンポウゲ科)
カラスウリ(ウリ科)
サキシマフヨウ(アオイ科)

回廊にはジョウロウホトトギス以外にも、ホトトギスキバナノツキヌキホトトギスキイジョウロウホトトギス、ヤマジノホトトギスなどホトトギスの仲間が植栽されています。

ホトトギスの仲間の状況

ジョウロウホトトギス …………… ★★☆ 見ごろです(葉の傷みあり)

ホトトギス ………………………… ★★★ 見ごろです。

キバナノツキヌキホトトギス …… ☆☆☆ これから(見ごろは来週半ば以降)

キイジョウロウホトトギス ……… ☆☆☆ これから(見ごろは来週半ば以降)

ホトトギス Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook.
ホトトギス(10/17撮影)
当園回廊や展示館周辺のホトトギスは葉の毛が多い(10/17撮影)

ホトトギスは10/17現在、多くの花が咲いており大変見ごろです。北海道西南部・本州(関東地方以西・福井県以南)・四国・九州に分布し、山地の半日陰などに生えるほか、観賞用としてよく人家に植栽されます。和名は花の紫色の斑紋を鳥類のホトトギスの胸の模様に見立てたことに因ります。個体差(変異の幅)が大きく、葉の形状や、茎葉の毛の量、花の斑点の大小などさまざまで、回廊や展示館周辺の株は毛が多くふさふさしています。

キイジョウロウホトトギスキバナノツキヌキホトトギス

同じく回廊に植栽があるキイジョウロウホトトギスとキバナノツキヌキホトトギスはごく一部の花が咲きはじめで、見ごろとなるのは来週半ば以降でしょうか。

キイジョウロウホトトギスはごく一部の花が咲きはじめで見ごろはこれから(10/17撮影)
キバナノツキヌキホトトギスはごく一部の花が咲きはじめで見ごろはこれから(10/17撮影)

見ごろとなりましたら両種とも紹介しようと思っていますので、お楽しみに。

広報・ガイド班長 西村 佳明

見ごろの植物

2025年10月 3週目

写真をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。

オオヤマショウガ(ショウガ科)
ツクバネガキ(カキノキ科)
アキギリ(シソ科)
ホトトギス(ユリ科)
ナリヤラン(ラン科)
ツリフネソウ(ツリフネソウ科)
タニジャコウソウ(シソ科)
ソナレノギク(キク科)
スイフヨウ(アオイ科)
ジョウロウホトトギス(ユリ科)
ショウキズイセン(ヒガンバナ科)
サワギキョウ(キキョウ科)
コヒガンザクラ‘十月桜’(バラ科)
カリガネソウ(シソ科)
オジギソウ(マメ科)
アリストロキア・トリカウダタ(ウマノスズクサ科)
見ごろマップ

2025年10月 3週目

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