キイレツチトリモチが咲きました(11/14更新)
キイレツチトリモチ(ツチトリモチ科) Balanophora tobiracola Makino

今年も当園の隠れた人気者、キイレツチトリモチが見ごろとなりました。

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。


雌花はめしべのみ花序の表面に飛び出す。
キイレツチトリモチは本館の受付窓口そばでご覧いただけます。窓口から土佐の植物生態園を見ると道の両側に石垣がありますが、そこに枕木で作った足場を設置しています。この足場を上ると一段高いところにトベラがあり、その株元で観察いただけます。本種はトベラやシャリンバイなどの根から栄養を奪って育つ寄生植物で、植物体は淡黄色から黄色(葉緑体を欠く)をしています。和名の由来は鹿児島県喜入町で採集されたことに因り、牧野博士がその標本を基に学名を発表しました。九州から台湾にかけて分布するとされていましたが、2014(平成26)年に四国で初めて高知県四万十町の海岸近くの林内で新たに発見され、四万十町の天然記念物に指定されています。淡黄色のキノコのような部分は花序(花の集まり)であり、花期の10月ごろになると地表に飛び出します。花序をよく観察してみましょう。まばらに点在する三弁の雄花と、それを囲むように多数の雌花があります。アリが吸蜜する姿をよく見かけますが、彼女らが這い回ることで受粉を助けているのではないかと私は推測しています。
リュウキュウマメガキ(カキノキ科) Diospyros japonica Siebold et Zucc.


結網山の少年広場ではリュウキュウマメガキが果実を実らせています。和名にリュウキュウとつくことから琉球諸島に特産の種と勘違いされがちですが、国内では本州(東海以西)・四国・九州・琉球と、西日本各地に分布します。本種は雌雄異株といって我々人と同様に性別があり、雄株は雄花のみを、雌株は雌花のみを咲かせるためハナバチなどの昆虫が行き来できる距離に互いがないと雌花は結実しません。直径2センチくらいの小さな丸い果実は橙色から紫黒色に熟しますが渋みが強く、食用には向きません。果実は熟してしばらく経つとしぼんでしまうので、フレッシュな状態の果実を運動兼ねて観察しに行ってみてください。
サネカズラ(マツブサ科) Kadsura japonica (L.) Dunal


本館と展示館を結ぶ回廊で赤い果実を実らせています。別名のビナンカズラの名前になじみがある方も多いと思います(※ビナンカズラの名前の由来は過去の投稿を参照)。本州(関東地方以西)・四国・九州・琉球、朝鮮(済州島)、台湾、中国大陸の暖帯から亜熱帯に分布する常緑のつる性木本です。この果実は球状に膨らんだ花托(めしべやおしべを支える部分、花床とも)の周囲に直径5ミリほどの液果が付いた集合果で、一つ一つの液果には腎形の種子が複数個入っています。本種の果実は同じマツブサ科のチョウセンゴミシ(生薬名:五味子)の代用として鎮咳や滋養強壮に用いる場合があるそう。チョウセンゴミシの五味子は果実を食べると酸味、苦味、甘味、辛味,塩味の5つの味がすることに因りますが、果たしてサネカズラの場合はどうか。液果を噛んでみたところ、薄い酸味と甘みに青臭さが混じり、種子をかみ砕くとさらに辛味を感じました。さすがに塩味は感じませんでしたが面白い味でした(美味しくはない)。みなさんは口に入れずに観賞に留めておいてくださいね。
広報・ガイド班長 西村 佳明
見ごろの植物
2025年11月 2週目
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見ごろマップ
2025年11月 2週目

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