ベニノキが咲きました(12/5更新)
ベニノキ(ベニノキ科) Bixa orellana L.


今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
温室には2階があるのをご存じですか?温室を入り巡っていくと、出口の手前にらせん階段があります。温室へ入った際はぜひ2階へ上がってみてください。ジャングルゾーンから上がることができるエレベーターもございます。植物園を散策する際は後ろを振り返ったり、しゃがんでみたりと目線を変えて植物を観察してみてください、と私はよく来園者の方とお話しします。とくに温室は植物が密集していて、角度を変えるとたくさんの発見がありますので、高低差をつけた植栽による奥行きのある空間を楽しむなら、2階からの眺めがおすすめです。


温室の2階へ上がるとジャングルゾーン側にベニノキがあり、現在木の上の方に5㎝ほどの桃色の花を咲かせています。目線の高さに毛に覆われた果実がたくさんついているので、見上げてみてください。
果実の中には赤橙色の種皮に包まれた種子が複数入っており、アナトー色素としてバターやマーガリン、みそなどの食品の着色や口紅などの化粧品に利用されるほか、種子のエキスは美容効果もあり、スキンケアやヘアケア商品にも利用されています。またアマゾン川流域の原住民も古くから化粧やボディペイントに利用しています。
コモチクジャクヤシ(ヤシ科) Caryota mitis Lour.



ベニノキの反対側ではコモチクジャクヤシがあり、現在たくさんの果実をご覧いただけます。
ジャングルゾーンの入口付近に株元があり、たくさんの子株が出ています。子株をたくさん出し、葉がクジャクの羽根のようであることが和名の由来です。葉のかたちが魚の尾びれのように見えることから、英名では「フィッシュテール・パーム」とよばれます。つぼみもあり今後開花も期待できます。
トックリキワタ(アオイ科) Ceiba speciosa


前回紹介したトックリキワタもまだまだ見ごろで、株元にあったほかの植物の葉などを整理し、和名の由来である膨らんだ幹もご覧いただけるようになりました。和名では膨らんだ幹を日本酒を入れる徳利に例えていますが、南米の一部ではCeibaの仲間を総称して「パロボラッチョ」、スペイン語で「酔っ払いの木」とよばれており、膨らみを酔っ払いのお腹に見立てています。
温室担当者の水やりや剪定などの試行錯誤の結果、まとまった数の開花は6年ぶり!12/2より、結実させるために人工授粉にも挑戦しており、果実をご覧いただけるよう努めて参ります。
ほかにも
ナガラッパバナ や
ツバキカズラ 、
バルボフィルム・ルイス・サンダー も開花中!寒さが堪える時期になってきましたので、暖かい温室で楽しいひと時をお過ごしください。
広報・ガイド 宮田 実幸

