ヒロハノミミズバイの花が咲きました(12/19更新)


今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
ヒロハノミミズバイ Symplocos tanakae Matsum.


本種は四国(徳島県・高知県)と九州(種子島・屋久島)およびトカラ列島に分布する常緑小高木で、高知県では室戸市など県東部で見られます。和名の由来は近縁の
ミミズバイよりも葉が幅広であることから。花は花柄がなく葉腋に数個ずつつき、それらが密に咲きます。あまり強くないですが香りがあり、花に近づいて香りを嗅ぐと洋菓子のような甘い香りがしました。
花を分解してみると杯状の緑色のガクと深く5裂した白色の花冠から、1本のめしべと花冠よりもやや長い多数のおしべからなることがわかります。12/19現在、まだまだつぼみも多く、来月半ばくらいまでは楽しめそうです。


連絡道からこんこん山広場へと上る石の階段を上がって、左に曲がった先に植栽されています。階段が少し急なので、足元には細心の注意を払ってご覧ください。

一方、ミミズバイは全縁または先端に細かい鋸歯がある。

ちなみに、ミミズバイは関東以西の本州・四国・九州・琉球のほか、中国(南部)、台湾、東南アジアで見られ、暖地の常緑樹林の重要な構成種です。花は7月ごろ咲き、12/19現在、緑色の未熟な果実がついています。こんこん山広場にも自生のミミズバイが多くあるので、ヒロハノミミズバイと見比べてみてはいかがでしょうか。
ナカハラカエデ Acer serrulatum Hayata


こんこん山広場を上がって、台湾植生区に入ると鮮やかな橙色~赤色の紅葉が目を引きます。今年は特にきれいに紅葉しており、晴れた日には青空に赤が映えるので、カメラを携えて遊びに来ませんか。ナカハラカエデは台湾固有のカエデの仲間で、台湾全土の低~中標高でよく見られる落葉樹です。学名を発表した早田文藏博士(1874-1934)は東京帝国大学に勤務し、特に台湾に自生する植物に関する分類学的研究を精力的に進めます。本種を含め、彼が発表した分類群(新種、新亜種、新変種)は1,600を超え、それまでよく知られていなかった台湾の植物相を明らかにしていった功績から『台湾植物学の父』と称され、『日本の植物分類学の父』こと牧野博士とは同じ大学で働く同僚でした。
バイカオウレン Coptis quinquefolia Miq.


本館と展示館を結ぶ回廊沿いに本種のまとまった群落があり、この花は今季2輪目。つぼみをさっと確認したところ10輪くらいあり、まもなく咲きそうなものもちらほら。徐々に花数が増えていきそうです。見ごろは今年も来年1月中旬以降でしょうか。見ごろになりましたら改めてご紹介します。
さて、当園は来週27日(土)から年明け1月1日(木)まで年末年始の休園となります。毎週金曜日に更新をいたしましたブログは休園を挟むことから、年内の更新はこれが最後となります。次の更新は来年1月9日(金)の予定です。本年も多くのお客様にご来園いただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。来年もより一層のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。どうぞ良いお年をお迎えください。
広報・ガイド班長 西村 佳明

