ただいま見ごろのツツジ属植物について(4/10更新)

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
桜の仲間はサトザクラが中心となり、いよいよ終盤です。園内では、園内各所でツツジ属の花が見ごろをむかえていて、その中から数種をピックアップしてご紹介します。
ツクシシャクナゲ(ツツジ科)


土佐の植物生態園でご覧いただけます。紀伊半島・四国南部・九州に分布し、深山の尾根沿いなど土壌の薄い、比較的乾きやすい場所に生える常緑低木です。和名は九州によく見られることに因ります。次に紹介するホンシャクナゲは本種の変種にあたり、両者は葉の裏を見ると見分けることができます。土佐の植物生態園のツクシシャクナゲは少し奥まったところに植栽されているので近くから観察できませんが、葉の裏を観察すると写真のように赤褐色のビロード状の毛が密に生えているのがわかります。
ホンシャクナゲ(ツツジ科)


結網山に数株が植栽されています。本州(新潟県以西)・四国(中北部)に分布し、ツクシシャクナゲと同様、深山の尾根沿いなどに生育します。基本種のツクシシャクナゲと葉の裏面を見比べると、平たいロゼット状毛が密着していて、ツクシシャクナゲのように毛が密生しているようには見えません。4/10現在、開花は最盛期で蕾もあるので、この機会に結網山まで足を運んで観察を楽しんではいかがでしょう。
ランダイヒカゲツツジ(ツツジ科)

当園は2012年と2013年の秋、台湾行政院林業試験所と新潟県立植物園のご協力を得て、台湾のツツジ属植物の種子採集と調査を行い、台湾に分布するツツジ属植物19種のうち、採集地が明確な17種(固有種11種)の種子と証拠標本を得ることができました。こんこん山広場には、種子から育てた台湾産ツツジ属植物の貴重なコレクションがあり、今回紹介するランダイヒカゲツツジもそのなかのひとつ。
本種は、台湾中北部の山岳地帯や中国の華中・華南地域に分布する常緑低木で、和名は台湾に自生する植物に関する分類学的研究を精力的に進めた早田文藏博士らが標本を採取した巒大山(らんだいさん)に由来します。
オンツツジ(ツツジ科)


園内各所に植栽があるオンツツジ。紀伊半島・四国・九州に分布し、アカマツ林などの二次林を中心に生育します。当園のある五台山にはかつて多くの自生株が見られ、牧野博士が「五台山のオンツツジは名物である」と言うほどでした。博士は生前「花の咲く頃には是非帰省してその花を見ることを楽しみにしている」、「この苗を育てて名所を作ったらよい」と口癖のように語っていたほか、亡くなるまで土佐の知人にオンツツジの花を送ってほしいと毎年頼むなど、本種を特に好んでいたことがうかがえます。
キリシマツツジ(ツツジ科)


混混山南斜面と、南園のお馬路と蛇紋岩植生園に植栽があります。本種は鹿児島県の大隅半島や薩摩半島に分布するサタツツジをもとに作出された園芸品種とされています。その中でも、南園のお馬路と蛇紋岩植生園には江戸で「霧島」とよばれて大流行したものの現在ではほとんど見られなくなった貴重な園芸品種である‘本霧島’が植栽されており、4/10現在、見ごろ真っ盛り。江戸の人々を魅了した、燃えるような濃赤色の花が楽しめます。
ニシキコバノミツバツツジ(ツツジ科)

展示館のそばや、南園の蛇紋岩植生園、結網山などに植栽があります。蛇紋岩地にのみ生育するコバノミツバツツジの品種で、和名は本種が見られる高知県日高村の錦山に由来します。コバノミツバツツジに比べ、葉が3センチ以下と小型で厚いことが特徴とされます。
ツツジ属、特にミツバツツジの仲間はオンツツジやサクラツツジを除くと本当に見分けがつきづらく、苦手意識を持っている人も多いと思います(私もそう)。多くの種類が一度に観察できるこの機会に、散策しながら勉強してみませんか。

