シタキソウが咲きました(5/28更新)

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

さつきまつり が始まりました

5月31日(日)まで、牧野富太郎記念館 本館 映像ホールにて「さつきまつり」を開催しています。本年も、愛好会の会員が育てたさつき約50鉢を展示しています。期間中は、育て方など、みなさんの疑問に愛好会の会員さんがお答えするさつき相談も随時受付いたします。長く日本人に愛されてきたさつきをぜひご覧ください。

さつきまつり

日 時:2026年5月28日(木) ~ 31日(日)  9:00~17:00 ※31日は16:30まで

場 所:牧野富太郎記念館 本館 映像ホール

内 容:約50鉢のさつきの展示が楽しめます。栽培方法などさつき相談も随時受付します。

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サツキには近縁のマルバサツキとの交配種を含む、数多くの園芸品種が存在しますが、野生のものは本州(関東西南部~近畿、山口県)・九州(佐賀県、熊本県、鹿児島県屋久島)に分布し、川岸の岩上に生育します。葉の形が幅の狭い流線形なのは、増水時などに水の抵抗を減らすように進化したためと考えられています。

ちなみに、ここ高知県を含む四国にはサツキは自生していないとされ、代わりにキシツツジがサツキと同様の環境に生育(ニッチ:生態的地位)します。

シタキソウ(キョウチクトウ科)
あたりには芳香が漂う 回廊にて5/29撮影

本館と展示館を結ぶ回廊と、こんこん山広場でご覧いただけます。本種は本州(千葉県以西の太平洋側)・四国・九州に分布し、海岸に近い林の中に生える常緑のつる植物です。5/29現在、直径5センチほどの大きな白い花を咲かせており、花からはジャスミンの花のような芳香を放ちます。

牧野博士は当園がある五台山にも植物採集に訪れており、その際、大いに花の咲いた本種に出会ったそうです。博士は晩年、当園の設立に尽力した武井近三郎へ宛てた手紙の中で、もしわかるならこのシタキソウを採取し (東京) に送ってほしいとお願いしていました。手紙の端には「たまに外にも在りますけれど、五台山のものは名物と云ってよいのです。」と書き添えており、ここ五台山のシタキソウは牧野博士にとって印象深い植物であったことがうかがえます。

口吻が抜けなくなってジタバタするナガサキアゲハ
花からは黒緑色の汁が流れ出ることがよくある

本草綱目啓蒙の著者としても名高い小野蘭山の弟子だった井岡冽によれば、シタキリソウが本来の名で、シタキソウはその略したものであるらしく、牧野博士は牧野日本植物図鑑において、シタキリソウは舌切草と思うがその意味はわからないと述べています。一方で、園内ではチョウの仲間が訪花し、口吻 (ストロー) を挿し込んで吸蜜するようすをよく目撃しますが、時たまその口吻が抜けなくなってジタバタすることがあります。ひょっとしたらこれが和名の由来、なのかもしれません。

クリの栽培品種‘丹沢’
クリの栽培品種‘丹沢’ ふむふむ広場にて5/29撮影

ふむふむ広場の土佐の畑エリアでは、クリの栽培品種‘丹沢’が尾状の花序(花の集まり)を密に咲かせています。独特の花の香りはハエやハナムグリなどの昆虫類を呼んで受粉を促します。尾状の花序の大部分は雄花序が占め、基部に雌花序がつきます。花序をじっくり観察してみましょう。

雄花序と雌花序

尾状の花序は大部分を占める雄花序と1-2個の雌花序からなります。雄花序はふつう7個の雄花が集まって全体に満遍なくつくのに対し、雌花序はふつう3個の雌花が集まって基部に1-2個つきます。3つの雌花は総苞に包まれており、総苞はその後、針状に発達していわゆる「栗のいが」になります。栗拾いをしたことがある方は、踏みつけて「いが」を剥くと最大3つの栗(堅果)が入っていることに気づくはずです。本種は北海道(南部)・本州・四国・九州の温帯から暖帯にわたって分布し、古くから堅果を食用として、材を薪炭材として利用してきました。

クリとクヌギ、アベマキの葉の比較

本種の葉は同じくブナ科で落葉性のクヌギやアベマキと似ています。3種とも葉の形や鋸歯の雰囲気も似ていて、質感も厚くなく、見分けは容易ではないかもしれません。園内ではクヌギとアベマキは両種とも薬用植物区に植栽があります(ただし樹高が高いので葉の比較は難しい)。葉の裏面をルーペや虫メガネで見比べてみると、クリには肉眼では見えないくらい小さな茶色の腺点が多数あることに気づきます。アベマキは裏面に星状毛が密生するため裏面全体が白っぽく見えます。クヌギは腺点も星状毛もないので区別が可能です。

フェイジョア(フトモモ科)
内花被片(2枚)は外花被片(3枚)と比べるとずっと小型でさらに目立たない

温室入り口そばで鮮やかな赤い花を咲かせています。ブラジルからアルゼンチン原産の常緑低木で、主に果樹として、また庭木や公園樹としても栽培されます。フトモモ科としては耐寒性が高く、日本でも暖地を中心に屋外栽培が可能です。

花は4枚の外側が白く、内側が淡紫から桃色を帯びる肉厚の花弁と多数の赤い雄しべが目立ちます。フェイジョアの果実は生食のほかジュースやジャムなどに加工し食されますが、花も食用(エディブルフラワー)にされ、花弁はほのかに甘いそうです。果実はパイナップルのような香りがすることからパイナップルグアバという別名がありますが、グアバとは別属です。温室に入る前にまずはこの美しい花を観察してみてください。

広報課 西村佳明