【6/6】見ごろの植物を更新しました

週間天気予報を見ていると雨予報も続いてきて、いよいよ梅雨入りかといったところ。この土曜日はなんとか天気は持ちそうで、日曜から崩れてくるようです。散策の際は曇りの日でも折り畳み傘など持っておき、万が一に備えてください。

それでは、今週も見ごろの植物をご紹介します。

見ごろの状況

ガンゼキラン(ラン科)…★★☆ 南園のお馬路を下った先で見ごろです。

アヤメの仲間(アヤメ科)…★★★ ノハナショウブやハナショウブの園芸品種が見ごろです。

アジサイの仲間(アジサイ科)…★★★ ヒメアジサイヤマアジサイ‘紅’〃‘雅’シチダンカなどが見ごろです。

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

クサナギオゴケ(キョウチクトウ科)
ナツツバキ(ツバキ科)
ヒメコウホネ(スイレン科)
ヒメアジサイ(アジサイ科)
ウツボグサ(シソ科)
ハナショウブ‘諏訪原城’
ガンゼキラン(ラン科)

ヒメユリ(ユリ科)

濃赤色の花を上向きに咲かせる(6/4撮影)
6/6現在咲きはじめで、開花は10輪ほど。これから咲き進む。

こんこん山広場の草原エリアでは鮮やかな濃赤色の花が映えるヒメユリが咲きはじめました。本種は本州から九州にかけての山地や草原に自生し、観賞用に栽培されることもあります。自生のものは日本各地で絶滅が危ぶまれており、環境省レッドリスト(2020)では絶滅危惧IB類(EN)に、高知県レッドデータブック (2022)では絶滅危惧IA類(CR)に指定されています。こんこん山広場のヒメユリは高知県津野町との連携協定のもと採集の許可を頂き、職員が種子から大切に育てたものです。因みに、ヒメユリの和名から連想される『ひめゆり学徒隊』のひめゆりは本種ではなく(沖縄には自生していない)、女子学生が動員された2つの学校の愛称から名付けられているので無関係です。

カギカズラ(アカネ科)

小さな花が集まって球状になる(6/6撮影)
著しく湾曲したカギが葉腋につく。カギは葉腋ごとに1つ、2つと交互に着く。
カギの部分を乾燥させると釣藤鈎という生薬となる

薬用植物区ではカギカズラが見ごろを迎えました。小さな花が集まって球状になった姿(花序)は面白く、ぜひご覧いただきたい花の一つです。本種は本州(房総半島以西)、四国、九州に分布するつる性木本で、つるには名前の由来である著しく湾曲したカギがあり、ほかの樹木に絡まりながら伸びていきます。このカギが服に引っかかることから林業関係者に嫌われる一方、カギの部分を乾燥させると釣藤鈎(ちょうとうこう)という生薬となり、釣藤鈎を含む漢方薬である釣藤散(ちょうとうさん)や抑肝散(よくかんさん)には認知症の周辺症状である幻覚、妄想、抑うつ、攻撃行動、徘徊などの行動・心理症状(BPSD)を改善することが報告されています。園長の髙野曰く、カギの部分に限定しなくても、つる全体に薬効があるそう。それでも敢えて面倒な、カギの部分だけを切り分けて使うのは、異物の混入や意図した混ぜ物の防止を兼ねているのでは?とのことでした。

ヒメアジサイ(アジサイ科)

展示館中庭のヒメアジサイ(6/4撮影)
里帰り出発前のヒメアジサイ(2022年5月)

回廊や展示館の中庭、南園など園内各所で見ごろとなりました。牧野博士が1928(昭和3)年に信越地方の民家に植栽されているのを発見し、優美な花姿からヒメアジサイと名付け、『植物研究雑誌』にて新変種として発表しました。博士はよほど気に入ったのか、東京都練馬の自宅(現在の練馬区立牧野記念庭園)に植栽し、花を楽しまれていたようです。当園の株は半世紀以上前に牧野記念庭園より分譲されました。その後、牧野記念庭園のヒメアジサイは絶えてしまいますが、2022(令和4)年5月、当園で鉢に仕立てたものが里帰りを果たし、牧野記念庭園にも在りし日の情景が復活しました。濁りのない、涼やかな青色をぜひお楽しみください。

ヒメシャラ(ツバキ科)

展示館の外側(芝生広場側)で見ごろ(6/4撮影)
淡い赤褐色で滑らかな樹皮はよく目立つ(土佐町の山中にて)
展示館の中庭では近縁のナツツバキも同時に開花している(6/4撮影)

展示館の外側(芝生広場側)で見ごろとなりました。本種は本州(神奈川県箱根山以西、中国地方を除く)、四国および九州(屋久島まで)に分布し、四国では標高500メートルから上部の主にブナ帯に生育します。自生のものは幹が直立して高く伸び、淡い赤褐色で滑らかな樹皮は遠くからも目立ち、容易に見分けられます。名前は近縁のナツツバキの別名、シャラノキに似て、葉や花が小さいことに因ります。「ヒメシャラとナツツバキの違いを教えて」とよく質問をいただきますが、両種とも6/6現在見ごろなので、この際、園内で花を見比べてみませんか?写真だとわかりにくいですが、花の直径はヒメシャラが2センチ前後、ナツツバキは5センチ前後とヒメシャラが明らかに小さく感じると思います。ぜひこの機会に白色の愛らしい花をご覧ください。

広報・ガイド班長 西村 佳明

マークの植物名をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。

今週の見ごろの植物

ノハナショウブ(アヤメ科)
ビヨウタコノキ(タコノキ科)
アリストロキア・ギガンテア(ウマノスズクサ科)
ヒメユリ(ユリ科)
ヒメシャラ(ツバキ科)
ヒメアジサイ(アジサイ科)
ヒツジグサ(スイレン科)
タイサンボク(モクレン科)
セッコク(ラン科)
シャンプーノキ(ゴマ科)
シチダンカ(アジサイ科)
クサナギオゴケ(キョウチクトウ科)
ガンゼキラン(ラン科)
カワラナデシコ(ナデシコ科)
カギカズラ(アカネ科)
オカトラノオ(サクラソウ科)

今週の見ごろマップ

「見ごろ植物マップ&フォト」過去1年分もダウンロードできます。「見ごろカレンダー」のページで確認してみてください

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