センニンソウが咲きました(8/29更新)

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

スズムシバナ(キツネノマゴ科)
キノクニスズカケ(オオバコ科)
マルバチシャノキ(ムラサキ科)
センニンソウ(キンポウゲ科)
シロスジアマリリス(ヒガンバナ科)
トウテイラン(オオバコ科)
ヒメハマナデシコ(ナデシコ科)

センニンソウ(キンポウゲ科)Clematis terniflore DC.

土佐の植物生態園と回廊で見ごろです。本種は北海道南部から琉球に分布し、国外では朝鮮、台湾、中国で見られます。道ばたや林縁など、日当たりのよい場所によく生えます。花には芳香があるのでぜひ顔を近づけて香りを楽しんでみてください。 ※茎や葉から出る液汁に触れると皮膚炎を起こす可能性があるため、ちぎらないでください。

ガク片は4個で十字形に平開、多数のおしべと数個のめしべがある。これらはガク片よりも短い。
葉は奇数羽状複葉で3~7枚の小葉がある。小葉は全縁(鋸歯がない)。
花後にできる痩果(そうか)は扁平。花柱が宿存・伸長し、白色の羽毛状になる。和名はその様子を仙人の白髭に例えたとされる。

花に花弁はなく、ガクが弁化し十字に平開しています。葉は奇数羽状複葉で3~7枚の小葉があって、小葉は鋸歯がなく全縁です。小葉柄は柔軟で、ほかの植物などに巻き付けながら伸びていきます。和名は長い毛のついた果実(痩果:そうか)を仙人の白髪に例えたとされています。花からは想像しにくいかもしれませんが、学名のとおり、次に紹介する近縁のボタンヅルと同様、クレマチスの仲間です(関連:シロバナカザグルマ)。次に紹介するボタンヅルとの違いにも注目してみましょう。

ボタンヅル(キンポウゲ科) Clematis apiifolia DC. var. apiifolia
センニンソウと同様、ガクが弁化し十字に平開する。ガクはおしべと同じくらいの長さ。
葉は三出複葉で小葉には粗い鋸歯がある。

北園と南園を結ぶ連絡道の、展望台近くで花を咲かせています。本種は本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮、中国で見られます。センニンソウと同様、日当たりのよい場所によく生え、同所的に見られることもあります。十字に平開するガクはセンニンソウよりも短く、おしべの長さと同じくらいでおしべが非常に目立ちます。葉は三出複葉で小葉は粗い鋸歯があります。

センニンソウとボタンヅルの違い
センニンソウボタンヅル
小葉
鋸歯がない。

粗い鋸歯がある。
ガク片
おしべよりも長い。

おしべの長さと同じくらい。
つぼみ
先がとがる。

先が丸い。
サネカズラ(マツブサ科) Kadsura japonica (L.) Dunal
雄花:多数のおしべが集まって赤い球形となる。
雌花:多数のめしべ(子房)が集まって緑色の球形となる。
液果は直径5ミリほどで、肥大した花托のまわりにつき、赤く熟す。

8/29現在、回廊で開花が見られます。本種は関東地方以西の本州、四国、九州、琉球のほか、朝鮮(済州島)、台湾、中国大陸の暖帯~亜熱帯に分布する常緑のつる性木本です。雌雄異株で、雄株は雄花を、雌株は雌花を咲かせます(まれに雌雄同株)。花は葉腋より垂れ下がって黄白色の、ロウ細工のような質感の花被片を持ち、花冠の中央にそれぞれ、おしべとめしべが多数集まって球形を形作ります。ビナンカズラという別名でご存じの方も多いと思いますが、その名は、枝葉を水に浸して得たとろみのある液体を男性の整髪料に利用したことに由来します(関連:とろみ液を作った様子は11/22のブログ参照)。

回廊の株は雌雄同株のようで雄花と雌花の両方が観察できます。下向きに花を咲かせるので、しゃがみこんでその違いを観察してみてください。

広報・ガイド班長 西村 佳明

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見ごろの植物

2025年8月5週目
ショウロウクサギ(シソ科)
ヤノネボンテンカ(アオイ科)
シロスジアマリリス(ヒガンバナ科)
アギナシ(オモダカ科)
フウリンブッソウゲ(アオイ科)
サンタンカ(アカネ科)
ミソハギ(ミソハギ科)
ヒメハマナデシコ(ナデシコ科)
ヒナシャジン(キキョウ科)
スダレギボウシ(クサスギカズラ科)
スズムシバナ(キツネノマゴ科)
スイレン属の園芸品種セントルイスゴールド
シロバナクズ(マメ科)
サネカズラ(マツブサ科)
コムラサキ(シソ科)
オミナエシ(スイカズラ科)

見ごろマップ

2025年8月5週目

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