フジバカマが咲いています(10/3更新)
フジバカマ(キク科) Eupatorium japonicum Thunb.

こんこん山広場、ふむふむ広場に多くの植栽があり、見ごたえがあります。国内では本州(関東以西)から九州に分布する多年草で、秋の七草の一つです。花に顔を近づけると、桜餅のような特徴的な香りも楽しめます。本種の高知県内での自生は限られており、川岸の堤防や土手などの管理放棄と遷移進行により個体数が著しく減少しており、高知県レッドデータブック(2022)では絶滅危惧IB類に指定されています。

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
フジバカマとコバノフジバカマ
園芸店でフジバカマとして流通するものの多くは中国産とされ、当園ではコバノフジバカマと呼んで区別しています。こんこん山やふむふむ広場に多く植栽されているフジバカマに対し、コバノフジバカマは南園の牧野富太郎像周辺に植栽されているので見比べてみませんか。
| 花 | 葉 | 草丈 | |
| フジバカマ | ![]() 花色は淡紫色か淡紅紫色。 | ![]() 茎上部の葉は分裂しないことが多い。 | ![]() 高さ1メートルほど。 |
| コバノフジバカマ | ![]() 花色が濃く、花序の軸が紅色を帯び、急角度で斜上する。 | 茎上部の葉も3深裂する。 | 大きくても高さ1メートルに満たないくらい。 |
旅するチョウで有名なアサギマダラは両種とヒヨドリバナを好んで吸蜜します。私自身は今年まだ園内で見ていませんが、運が良ければアサギマダラも観察できるので来園時には要チェックです。
ショウキズイセン Lycoris traubii W.Hayw.


展示館の手前から南園へ向かう分岐点で咲きはじめです。今後、花数が増えて黄色の花が園路を彩ります。本種は四国・九州・琉球、台湾に分布し、高知県内では宿毛市沖ノ島で牧野博士が1891(明治24)年に採集した記録を最後に、近年の確認例はありません。9/26更新のブログでご紹介したシロバナマンジュシャゲは本種とヒガンバナの雑種と推定されています。日本国内のヒガンバナや雑種のシロバナマンジュシャゲは不稔(種子ができない)で鱗茎の分球や鱗片葉の再生によって増殖するのに対し、ショウキズイセンは鱗茎の分球のほか、結実し種子でも殖えることができます。
ガマズミの果実とガマズミミケフシ

見ごろの調査をしていた宮田が面白いものを見つけました。土佐の植物生態園のガマズミを観察すると、赤い果実の中に毛深い緑色の球形が混じっています。
虫こぶ って知っていますか?




ガマズミの果実に混じる、この毛深い緑色のものはガマズミミケフシタマバエという小さなハエの一種が花に寄生することによって生じるガマズミミケフシという虫こぶです。虫こぶ(虫えい)とはその名のとおり、“虫”(広義の虫:アブラムシやカイガラムシ、タマバエ、ダニ、センチュウなど)が寄生することで植物体が異常な成長をしてできる“こぶ”で、寄生した“虫”にとって、虫こぶの内部は食料であり身を守るシェルターでもあります。
ブログのネタに良いと思い、こんこん山広場を歩いたらほかにも3種類の虫こぶを見つけました。ヌルデの葉軸にできるヌルデミミフシ、クサギの葉にできるヌルデハコブフシ、ノブドウの果実にできるノブドウミフクレフシ。虫こぶは特定の“虫”が、特定の植物の、特定の部位に寄生する、その特異性と多様性が面白く、個人的には興味をそそられます。一部は文化にも密接にかかわっており、例えばヌルデミミフシは五倍子とも呼ばれ、お歯黒や薬用として用いられました。虫こぶ探しも面白いかもしれませんよ。
広報・ガイド班長 西村 佳明
見ごろの植物
2025年10月 1週目
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見ごろマップ
2025年10月 1週目

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茎上部の葉も3深裂する。
大きくても高さ1メートルに満たないくらい。











