サラシナショウマが咲きました(11/7更新)

サラシナショウマ(キンポウゲ科) Cimicifuga simplex (DC.) Wormsk. ex Turcz.

サラシナショウマ(回廊にて11/7撮影)

本館と展示館を結ぶ回廊ではサラシナショウマが見ごろとなりました。白い花を密につけた総状花序はまるで実験室にある試験管ブラシのよう。花が通路に張り出しているので回廊を通る際は避けて通って下さいね。

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

エッチュウミセバヤ(ベンケイソウ科)
ソナレノギク(キク科)
ツクバネガキ(カキノキ科)
ナガラッパバナ(ナス科)
コヒガンザクラ‘十月桜’(バラ科)
タイキンギク(キク科)
チャノキ(ツバキ科)
サラシナショウマの花を拡大
雄花(写真上)と両性花(〃下)の違い

サラシナショウマは北海道・本州・四国・九州のほか、国外ではシベリア東部、朝鮮半島、中国などに分布し、草原や林下の湿った環境を好みます。滋賀県の伊吹山は本種の名所として有名です。サラシナとは晒し菜で、春の若芽を茹でたあと水にさらして食用にされたことに由来します。花序を構成する一つ一つの花をよく観察してみると、ガク、花弁、おしべ、めしべがあって、花も2種類(雄花・両性花)あることがわかります。花弁は先が2裂し、ガクと花弁は咲き進むにつれ脱落します。多数のおしべが目を引きますが、両性花(おしべとめしべが同居する)には子房のふくらみがあるめしべが紛れています。

根茎から根を取り去って乾燥させたものを生薬:升麻(ショウマ)と呼ぶ。

本種はコブ状の根茎を水平に伸ばして成長します。この根茎を掘りあげ、根や地上部を取り去ったあと乾燥させたものは生薬:升麻(しょうま)と呼ばれ、消炎、発汗作用があって、皮膚炎に処方される升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)や虚弱体質に処方される補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などの漢方薬に配合されます。

ヤマラッキョウ(ヒガンバナ科) Allium thunbergii G.Don
タマムラサキ(ヒガンバナ科) Allium pseudojaponicum Makino
ヤマラッキョウ(こんこん山広場にて11/6撮影)
タマムラサキ(薬用植物区にて11/7撮影)

こんこん山広場にてヤマラッキョウが、土佐の植物生態園や薬用植物区ではタマムラサキがそれぞれ咲きはじめました。どちらもAllium(ネギ属)で植物体を傷つけるとニラに似た香りがします。両種は非常によく似ており、紅紫色の花を束生して球形の散形花序を形成します。園内で観察する限りタマムラサキのほうがヤマラッキョウよりも1つの花序につく花の数が多い印象ですが、見分けるポイントは花ではなく、葉になります。

葉の断面の違い:ヤマラッキョウ(左)とタマムラサキ(右)

ニラに似た香りに食欲を刺激されながら両種の葉をそれぞれ輪切りにすると、ヤマラッキョウは中空(中が空洞)で、タマムラサキは中実(中が詰まっている)であることがわかります。園内のものは引っこ抜かないでくださいね。ヤマラッキョウは南園の蛇紋岩植生園や石灰岩植生園の周辺のものが、タマムラサキは土佐の植物生態園のものがこれから咲いてきます。

バクチノキ(バラ科) Laurocerasus zippeliana (Miq.) Browicz
バクチノキ(こんこん山広場にて、11/6撮影)
灰褐色の樹皮が剥がれ、紅黄色の肌がよく目立つ。

土佐の植物生態園とこんこん山広場で見ごろとなりました。房総半島以西の主に海岸に近い低山地に生育する常緑高木で、大きく育つと樹皮が剥がれてあらわになる紅黄色の肌がよく目立ちます。和名は樹皮が剥がれるさまを、博打に負けて身ぐるみを剥がされた者の様子に見立てており、その由来を紹介するとフフッと笑ったあと、多くの方が覚えて帰ってくれます。花は短い穂状の花序に密に付き、5枚の花弁よりも周囲に広がるおしべが目立ちます。このおしべは傷み始めるのが早く、すぐ茶色く変色しますので、ご覧になりたい場合はぜひお早めにお越しください。

広報・ガイド班長 西村 佳明

見ごろの植物

2025年11月 1週目

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ツクバネガキ(カキノキ科)
リンドウ(リンドウ科
ヒメヒゴタイ(キク科)
ハナトリカブト(キンポウゲ科)
ナガラッパバナ(ナス科)
ツワブキ(キク科)
チャノキ(ツバキ科)
ダルマギク(キク科)
タマムラサキ(ヒガンバナ科)
スイレン属の園芸品種セントルイスゴールド(スイレン科)
サラシナショウマ(キンポウゲ科)
コヒガンザクラ‘十月桜’(バラ科)
クラリンドウ(シソ科)
オオクサボタン(キンポウゲ科)
エッチュウミセバヤ(ベンケイソウ科)
アリストロキア・トリカウダタ(ウマノスズクサ科)
見ごろマップ

2025年11月 1週目

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