バイカオウレンが見ごろになりました(1/9更新)

新年あけましておめでとうございます。本年も牧野植物園をどうぞよろしくお願いいたします。新年一発目のブログは牧野植物園のロゴマークにもなった人気の、あの植物を取り上げます。

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
バイカオウレン Coptis quinquefolia Miq.


本館と展示館を結ぶ回廊沿いでご覧いただけます。1/9現在、傷みもなくフレッシュな花を楽しめます。これから今月いっぱいにかけて花数が日増しに増えていくと思います。
本種は本州(福島県以南)・四国に分布し、山地の林床や林縁に生育するキンポウゲ科の多年草です。湿り気を好み、自生地ではコケ(蘚類)と一緒に生えることが多い印象です。牧野博士は、生家の裏山に生えていた本種が大好きで、晩年は見舞人が持ってきたバイカオウレンに顔をこすり付けて喜び、故郷高知を懐かしんだといわれています。別名のゴカヨウオウレンはその葉がウコギ(五加木)に似ていることに由来します。牧野博士は、本種のうち根茎がつる状に伸長するものをバイカオウレンの変種と考え、和名ツルゴカヨウオウレンと学名C.quinquefolia ver. stolonifera Makinoをそれぞれ提唱しましたが、現在、その説は支持されていません。回廊でご覧いただけるバイカオウレンは、根茎がつる状に伸長する「ツルゴカヨウオウレンのタイプ」になります。

みなさんが花びらとよく勘違いする5枚の白い部分は花弁状に発達した萼(がく)で、それより内側の、黄色の杯状の部分が本当の花びらです。白色のこん棒状のものは雄しべで、中心の緑色のものが雌しべです。直径1.5センチくらいの小さな花ですが、群生して咲く様子は大変見ごたえがあり、博士が愛したのも納得です。
カイドウツバキ Camellia amplexicaulis (Pit.) Cohen-Stauart


温室ではカイドウツバキが桃紅色の美しい花を咲かせています。1/9現在、丸くて愛らしい蕾もまだあり、花はしばらく楽しめそうです。本種はベトナムに分布し、亜熱帯林の樹林下などに生育します。やや厚みのある花びらは6枚以上あって、花は筒状に伸びます。和名の由来は、ベトナム語名の「海棠」(Hai Duong)で、ベトナムでは新年を祝う「テト(旧正月)」に赤や黄色の装飾が街中を彩りますが、美しい本種の花もその祝に添えられるようです。温室に立ち寄る際にはベトナムの人々が愛する本種をぜひ観察してください。
シモバシラ Keiskea japonica Miq. の霜柱
このところ、朝晩の冷え込みが厳しいですが、寒いこの時期だけにしか見られない神秘的な現象を紹介します。

シモバシラの枯れた茎の株元に霜柱ができています。本種はシソ科の多年草で、園内では、土佐の植物生態園や連絡道、南園などに植栽されています。このうち、特に南園のものが立地条件などで都合が良いのか比較的、霜柱が観察しやすいです。南園の温室前からスロープを降りる直前に、お馬路を下る階段がありますが、この階段を降り切る途中、進行方向左側にシモバシラが点々と生えています。
本種は地上部を枯らして越冬しますが、根は生きていて、根が吸い上げた水が毛細管現象によって枯れた茎の導管内を上がり、それが茎の割れ目からしみ出します。外気が氷点下になるとその水が凍り枯れた茎を裂いて出て、氷の結晶が発達します。霜柱ができることから和名そのままシモバシラ。まさに植物の生命活動と自然が織りなす氷の花です。霜柱は大変儚く、日が昇って暖かくなるとすぐ溶けてしまうので、ご覧になりたい場合は天気予報を見るなど特に冷え込んだ日を狙い撃ちにし、朝一番にお越しください。園内では、今年に入り、1/3(土)、4(日)、9(金)に霜柱が観察できました。この週末も冷え込む予想なので観察できる可能性があります。


因みに、霜柱ができるのは本種の専売特許ではなく、同じシソ科のタニジャコウソウやオオマルバノテンニンソウ、テンニンソウなどでも霜柱ができます。寒い冬はお出かけがおっくうになりますし、「植物園なんて見るものはないでしょ」と思われるかもしれませんが、ブログのとおり見どころもたくさんありますので、暖かい格好をして散策をお楽しみください。
広報・ガイド班長 西村 佳明


