ジンチョウゲの花が良い香りを漂わせています(2/27更新)

今週のブログはジンチョウゲとその仲間をご紹介します。

ジンチョウゲ(ジンチョウゲ科) Daphne odora Thunb.
ふむふむ広場にて2/27撮影

ジンチョウゲは園内だとふむふむ広場と南園に植栽が、また、2/27現在、斑入りの鉢植えが土佐寒蘭センターに展示されています。多くの花が開き、花とともにさわやかな香りを楽しめます。本種は中国南部、台湾、ベトナム北部原産の常緑低木で、日本には室町時代に渡来したといわれています。花には花弁がなく、萼の先が4裂します。香りが良いため観賞用によく栽培されており、庭に植えている方も多いのではないでしょうか。さて、みなさんは本種の果実を見たことはありますか?

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

南園のジンチョウゲは珍しい雌株
雌株には赤い液果が実る

果実を見たことがある方はあまりいないと思います。図鑑を開いてみると、「日本に生えているものはほとんど雄木(新分類 牧野日本植物図鑑 北隆館)」、「雌雄異株で日本にはふつう雄株のみがある(改訂新版 日本の野生植物 平凡社)」とあり、皆さんが普段ご覧になるジンチョウゲは雄株であることから果実を見る機会が圧倒的に少ないのです。この点、当園の南園には日本では珍しい雌株があり、5月から6月ごろに赤い果実(液果)が実ります。

花の解剖 左:雌花、右:雄花

ブログ執筆にあたり、ともにちょうど見ごろの南園の雌株とふむふむ広場の雄株の花を解剖してみました。雌花は雄しべの葯(やく)が萼筒から顔を覗かせていることから雄しべと雌しべが同居する両性花であることは容易に想像できましたが、雄株については私の予想を裏切りました。解剖してみると、雄花にも雌花と同様に十分機能しそうな雌しべと子房があるんです。雄花もまれに結実することがあるようで、雄花は受粉し結実するプロセスのどこかで何かしらの障壁があるんでしょうね。

コショウノキ(ジンチョウゲ科) Daphne kiusiana Miq.
土佐の植物生態園にて2/27撮影
花を解剖すると、土佐の植物生態園の株は雄しべと雌しべが同居する両性花(両性株)だった

土佐の植物生態園で白い可憐な花を咲かせています。本種は本州(関東南部および京都府以西)・四国・九州・琉球、朝鮮半島南部の諸島に分布し、暖地の林内に生える常緑低木です。北陸から関西地方を中心に絶滅危惧種に指定され、ここ高知県では絶滅危惧種ではないものの、やや稀な存在です。和名は赤い果実(液果)が胡椒のように辛いことに由来しますが、有毒なので口にしてはいけません。

本種もジンチョウゲと同様、雌雄異株(雌株と雄株がある)とされますが、野外を散策しているとポツンと1株だけ生える本種に果実が実るようすをよく見かける(園内のものも容易に結実する)ため、はたして雌雄異株なのか疑問に思っていました。山下(2010)によると本種には両性花(雄しべと雌しべが同居する花)を持つ両性株と雌花を持つ雌株がある(雌性両性異株)ものの、両性株が圧倒的に多く、また雌株と同様に両性株もかなり高い結実率を示したそう。長年、気になっていた疑問がブログ執筆を通して解決しました。

ミツマタ(ジンチョウゲ科) Edgeworthia chrysantha Lindl.
南園にて2/27撮影
枝は三又する

南園ではミツマタも見ごろです。ふむふむ広場にも植栽されていますが、こちらは開花までもう少しかかりそうです。本種はヒマラヤから中国に分布し、日本には室町時代に伝わったとされます。樹皮の繊維が強靭で、古くから和紙の原料として西日本各地で栽培されており、今では山間部を中心に野生化していたりもします。黄色の花は枝の先端部に半円状にまとまって咲き、栽培が盛んなころは、春になると山の斜面がミツマタの花で黄金色に染まったそうです。和名の由来は枝が分枝するたびに三又に分かれることから。香りもよいので観察する際には香りもお楽しみください。

山下直子.2010.葉と花にユニークな特徴をもつジンチョウゲ属.森林総合研究所関西支所研究情報96:3p.

広報・ガイド班長 西村 佳明