トサミスミソウの展示が始まりました(3/6更新)
トサミスミソウ(キンポウゲ科) Hepatica tosaensis Ohno & Hirooka

昨年、初めて一般公開したトサミスミソウの鉢展示が今年も始まりました。本種は当園のボランティアが高知県内で発見し、2023年に新種として発表されたミスミソウの仲間(スハマソウ属)です。昨年よりも株が充実し、今年は花が5輪あります。

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。


2019年3月。当園の調査ボランティアの廣岡エリカさんが高知県内のスギ・ヒノキの植林地でこの植物に出会いました。葉や花がひときわ小さいものの、葉先がとがる特徴から、当初はミスミソウと考えられていました。ちなみに、当時、ミスミソウの仲間は高知県に自生していないとされていました。その後、世界のスハマソウ属を栽培・研究している大野好弘さんを中心とする各研究機関によって詳しく調べられた結果、本種は日本でみられるミスミソウの仲間の起源とされる独立種であることがわかり、大野さんと発見者である廣岡さんにより高知県で発見された新種として2023年、めでたく発表となりました。
牧野博士の遺志を引き継いだ各地の研究者や愛好家が地元に密着した標本採集や観察に励み、日本に分布する植物が詳細に調べ上げられたこんにちにおいて、新種発見は容易いことではありません。近年ではその新種発見も、外見上区別がつきにくく同一の種類とされていたもののなかに、じつは別の種類が混じっていることがDNA解析などによって明らかとなって新種発表されるパターンが多く、本種のように未知の種が発見され、新種発表されるパターンは本当にすごいことです。
本館ウッドデッキを回廊側へ階段を下りたところで鉢の展示を行っています。3/6現在、5輪の花はまもなく開花すると思われます。虫メガネを備えつけていますので、開花の折には小さな花の細かな部分まで観察いただけます。大変貴重なこの機会、ぜひ一度ご覧ください。
ユキワリイチゲ(キンポウゲ科) Anemone keiskeana T.Itô ex Maxim.




今年も何度かブログでご紹介した本種ですが、芝生広場から階段を下りたところにある、見ごたえのある2つの群落がいよいよ見ごろとなりました。
株により白っぽい色のものから淡紫色や淡桃色など、花色には幅があります。芝生広場の階段を下りるとすぐ右側にある群落は「淡い花色の群落」で、さらに下りた分岐を右に折れると右側に「淡桃色の花色の群落」がご覧いただけます。陽光が当たると花が大きく開くので、晴れた日の午後の来園がおすすめです。
牧野博士はバイカオウレンやセントウソウとともに春を知らせる、故郷を懐かしむ思い出の植物と記しており、わざわざ佐川から本種を取り寄せ、終の住処である東京都練馬区東大泉の自宅の庭に植えて楽しまれました。
モモ‘矢口’(バラ科) Prunus persica ‘Yaguchi’


園内ではウメと入れ替わるように、モモ(花桃)が見ごろをむかえ、鮮やかな濃桃色や白色の花が南園を彩っています。このうち、南園の蛇紋岩植生園では、花桃の代表品種の一つ、‘矢口’が見ごろとなっています。早咲き(早生:わせ)の園芸品種で、濃桃色の八重咲きの花はボリューム感があり、よく目立ちます。


ほかにも、混混山の南斜面では白色の花を咲かせる
‘関白’や緋赤色の八重を咲かせる‘寒緋桃’などがご覧いただけます。ちなみに、これら花を観賞するモモ(花桃)は、果実を食用とするモモと同種ですが、果実は小さく食用には向きません。
トサミズキ(マンサク科) Corylopsis spicata Siebold et Zucc.

土佐の植物生態園や展示館の中庭、連絡道の土佐寒蘭センター周辺や南園など、園内各所で見ごろです。和名のとおり高知県の蛇紋岩地にのみ自生しますが、花の少ない早春に美しい花を咲かせることから広く観賞用に栽培され、今では全国各地の公園などで親しまれています。
花は展葉する前に咲き、淡黄色の花が連なって穂状の花序を作ります。牧野博士は明治24(1891)年、「東京小石川植物園にて採集す。ダンコウバイ、マンサク、トサミズキ…(略)皆花を開けり。本年の採集これをもって始とす。」と記録しており、まさに春の到来をいち早く知らせる植物の一つといえるでしょう。
暖かさを感じるようになり、園内の植物も次々に開花しています。冬の間はブログのネタに困ることが多かったのですが、最近はどれをブログに取り上げようか迷っています。競うように咲く春の花のなかからお気に入りを見つけに、にぎやかな園内を散策しませんか。
広報・ガイド班長 西村 佳明

