ヒスイカズラが咲きはじめました(3/13更新)
ヒスイカズラ(マメ科) Strongylodon macrobotrys A.Gray

今年も温室でヒスイカズラが咲きはじめました。ターコイズブルーの花色が大変人気で、各地の植物園で栽培されています。当園の温室でもスター的な立ち位置で、温室担当者曰く、温室の植物のなかで最も問い合わせが多いそうです。

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。


フィリピンの固有種で、ルソン島やミンドロ島の低山の標高100~1,000mの熱帯雨林の渓谷に自生します。自生地では蜜を舐めに訪花するオオコウモリが花粉が媒介すると考えられています。落下した花を観察すると、花の基部にたしかに蜜が溜まっていました。

オオコウモリがヒスイカズラの花に頭を突っ込んで蜜を舐めるとどうなるか、動画を撮ってみました。オオコウモリの代わりに指し棒を押し込むと竜骨弁の先から雄しべ(と雌しべ)が飛び出し、花粉がこぼれます。多すぎず、少なすぎない、絶妙な量の蜜がオオコウモリを引き寄せ、花粉の運び屋に仕立て上げます。
せっかくなので、花の解剖も行ってみました。ほかの多くのマメ科植物と同様「蝶形花」で、5枚の花弁は、1枚の旗弁と2枚の翼弁、合着した2枚の竜骨弁からなります。竜骨弁に沿うように1本の雌しべと10本の雄しべがあり、10本の雄しべのうち9本は基部から中ほどまで合着して丈夫なさや状になっています。竜骨弁や翼弁の基部は細く糸状でオオコウモリが頭を突っ込むと容易に押し広げられ、丈夫なさや状の雄しべとそれに包まれた雌しべが飛び出す寸法のようです。
ヤシャビシャク(スグリ科) Ribes ambiguum Maxim.


本館ウッドデッキから回廊側へ階段を下りたところに鉢の姿で展示しており、3/13現在、淡緑色の花が新葉に隠れるように咲いています。近づいて花をよく観察してみると、内側の花弁よりも萼が大きく発達していることがわかります。


鉢で展示していますが、本種は本来、着生植物。本州・四国・九州に分布し、四国では標高700mくらいから見られるブナの、洞(うろ)や股の部分に着生します。そもそも個体数があまり多くないのに加え、意識して上を見ないと見つからないため、目にする機会はあまりありません。趣味家が盆栽に仕立てて栽培することがあります。


本種に近縁の種にカシス(クロスグリ)があり、カシスと同様、本種の果実も甘く食用になります。果実は秋ごろに熟し、表面に毛が密生しますが甘くて食べられます。鳥が好んで食べ、ブナに止まってフンをすると、そのフンに混じった種子が、洞や股などの収まりが良いところで発芽し成長します。
カンザクラ‘寒桜’(バラ科) Prunus x kanzakura Makino


園内の桜の仲間に目をやると、花が散った
カンヒザクラや
サクラ属の園芸品種‘河津桜’などと入れ替るように
カンザクラ‘寒桜’が咲きはじめました。本種は展示館周辺とさくらつつじ園に植栽があります。カンヒザクラと
ヤマザクラの種間雑種と考えられる栽培品種で、花は早咲きでやや赤みが強く、下向きに咲かせるカンヒザクラの特徴を引き継いでいます。晴れた日には青空をバックに写真を撮ると非常に映える写真が撮れます。また、運が良ければ、蜜を吸いに飛んで来たメジロと一緒に撮影できるかもしれません。さくらつつじ園では同じく桜の仲間の
エドヒガンも咲きはじめたので同時に楽しんでみてはいかがでしょう。
広報・ガイド班長 西村 佳明

