アヤメが咲きました(5/8更新)

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

アヤメ(アヤメ科)
葉柄にある托葉は幅広く耳状で縁には腺毛がつく

こんこん山広場のトイレのそば、小高い丘の斜面にまとまった群落があります。5/8現在、見ごろをむかえており、さらに花数が増えていきます。

――いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)――

どちらも優れていて甲乙つけがたいという意味で使われたり、よく似ていて見分けがつきにくいという意味でも使われる慣用句です。さて、みなさんはアヤメとカキツバタ、ハナショウブの区別はつきますか。

アヤメを含むアヤメ科アヤメ属の多くは、大きく垂れさがる外花被片(がいかひへん)と、小型で直立する内花被片(ないかひへん)が3つずつ、また3裂した花柱からなる花を咲かせます。

アヤメの花の構造 内花被片と外花被片、花柱がそれぞれ3つずつ

ハナショウブとカキツバタの花も基本的には同様の構造をしていますが、見分けがつかないという話をよく聞きます。違いを表にまとめてみました。

アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの見分け方

5/8現在、展示館の中庭でカキツバタが、南園の灯ろうがある湿地でハナショウブ‘峰紫(みねむらさき)’が咲いています。

カキツバタ 展示館中庭にて5/8撮影
ハナショウブ‘峰紫’ 南園にて5/8撮影

それぞれ場所は遠いですが、実際に見比べてみてはいかがでしょうか。

トベラ(トベラ科)
トベラ(雌花) 土佐の植物生態園にて5/8撮影

土佐の植物生態園を進んで、本館の受付窓口あたりにトベラの植栽があり、5/8現在、あたりにスイセンのようなすっきりとした花の香りを漂わせています。花は咲き進むと黄色味を帯びます。本種は本州(太平洋側では岩手県以南・日本海側では新潟県以南)・四国・九州・琉球に分布し、海岸林の重要な構成種です。

本種は枝や葉を揉むと独特の香りがありますが、その香りが邪気を払うと信じられ、節分に枝葉を扉に挟んだことから扉の木、それが転じてトベラとなったといわれています。学名はPittosporum tobira で、学名(の種小名)も扉に由来します。

雌雄異株といって、我々人間と同じようにメスとオスがあり、本種は雌花を咲かせる雌株と雄花を咲かせる雄株があります。雄花と雌花はパッと見ただけでは区別がつきずらいのでこの際よく観察してみます。

花の比較 左:雄花 右:雌花
花の断面の比較 左:雄花 右:雌花

見比べるとわかりますが、雄花も雌花も、生殖器官としての基本である、雄しべと雌しべ、子房をもつことがわかります。ただし、その発達には差があり、雄花は雄しべが発達し、葯が花粉をまとっているものの、子房が小さくあまり発達しない、雌花は子房や中の胚が大きく発達するものの、雄しべは葯に花粉が見られません。

土佐の植物生態園のどの株がメスか、オスか、花の香りを楽しみながら注目してみると面白いかもしれませんね。ちなみに、当園の冬の人気者キイレツチトリモチは、土佐の植物生態園の本種が育てています(キイレツチトリモチは寄生植物で、当園ではトベラに寄生させているため)。

マメヅタラン(ラン科)
1センチほどの小さな淡黄色の花を咲かせる 南園にて5/7撮影
【参考】見た目はシダ植物のマメヅタに似る 高知県内にて西村が撮影

5/8現在、1センチほどの小さな淡黄色の花を咲かせています。当園のマメヅタランは南園の灯ろうのある湿地のウッドデッキから石灰岩植生園へ下りるとすぐ右側にあるミヤマビャクシンに着生させているので、屈んでのぞき込んでみてください。和名はシダ植物のマメヅタに似ていることに由来します。本州(福島県以南)・四国・九州・琉球、朝鮮半島南部、中国、台湾に分布し、主に暖温帯の山地の樹幹や岩石に着生して育ち、しばしば大群生をつくります。

内花被片(2枚)は外花被片(3枚)と比べるとずっと小型でさらに目立たない

花は小さくて目立ちませんが、ガラス細工のように美しく、後ろが透けてしまいそう。ぜひこの機会に観察してみてください。

広報課 西村佳明