【10/25】見ごろの植物を更新しました
朝晩と日中の寒暖差が大きく、私は最近少しだけ、のどの調子が悪いです。当園の秋の人気者ジョウロウホトトギスは、蕾も残りわずかとなり、開花は終盤です。
今週末から来週は天気がすぐれませんが、それに負けないくらい魅力的な花がたくさん咲いていますので、ぜひあたたかく羽織れるものを1枚お持ちになってご来園ください。
それでは、今週も園内をくまなく調査した「いまが見ごろの植物」をガイド担当がお届けします。
今週の見ごろの植物
What’s in Bloom
毎週、園内を巡回しておとどけします。
本館と展示館を結ぶ回廊では先週紹介したジョウロウホトトギスに続いて、キイジョウロウホトトギスとキバナノツキヌキホトトギス(ともにユリ科)が見ごろとなりました。3種とも分布が限られる希少種でジョウロウホトトギスは高知県に、キイジョウロウホトトギスはその名のとおり紀伊半島に、キバナノツキヌキホトトギスに至っては宮崎県の尾鈴山にのみ自生します。
一つ一つの花の寿命はせいぜい数日で、最初に咲いたジョウロウホトトギスは蕾がほとんど残っていないので、3種の花が一緒に見られるのは来週前半まででしょうか。今週末は秋の人気者を目当てにぜひご来園ください。
展示館の周辺や連絡道、南園など園内各所ではヒメヒゴタイ(キク科)が見ごろとなりました。本種は花もさることながら蕾も非常に美しく、写真のとおり、蕾の根元にある総苞から伸びた付属体が花弁状になっています。ぜひ蕾にも注目して観察してみてください。
話が横道に逸れますが、当園は国内外の植物園や研究機関との間で【種子交換】を行っています。これは分譲できるタネの目録を送付しあって、希望する種のタネを融通し合うというもので、絶滅に瀕する種の生息域外保全や施設の植物コレクションの充実に利用されています。私は大学生のころ牧野植物園にアルバイトに来ていて、種子交換用にタネのクリーニング作業(健全なタネだけに選り分けること)をしていました。ヒメヒゴタイは国内では北海道から九州まで分布しますが、生育する草原の環境悪化により多くの都府県で絶滅が危ぶまれており、種子交換で人気があったのか、当時は一日中、本種のタネの選り分けをしていたのを思い出します。
薬用植物区ではハナトリカブト(キンポウゲ科)が咲きはじめました。本種は毒草として有名なトリカブトの仲間で、全草にアコニチンなどのアルカロイドを含みます。特に塊根は強い毒性がありますが同時に薬用にもなり、わざわざ毒を弱める加工をして作られる生薬の附子(ブシ)は強心作用があって、八味地黄丸などの漢方薬に配合されています。薬用植物区は北園の端に位置し、階段が多く上り下りが大変ですが、妖しくも美しい花をこの機会にぜひご覧ください。
広報課ガイド担当 西村佳明
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今週の見ごろの植物
今週の見ごろマップ
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