【11/8】見ごろの植物を更新しました
昨日11月7日は二十四節気の一つ「立冬」で、暦通り、夕方以降ぐっと気温が下がって夜は寒いくらいでした。日が陰ると急に寒くなるので、ご来園の際には暖かい服もご持参いただけると快適に散策できそうです。
それでは、今週も園内をくまなく調査した「いまが見ごろの植物」をガイド担当がお届けします。
今週の見ごろの植物
What’s in Bloom
毎週、園内を巡回しておとどけします。
展示館の中庭では、ナカガワノギク(キク科)が見ごろとなりました。本種は日本固有の野生菊の一種で、徳島県の那賀川水系にのみ分布し、主に川のそばの岩場に生育します。
生育場所は川が増水すると濁流に浸かる場所であり、台風や梅雨時期などたびたび発生する激しい水の流れによって株が千切れて流されるのを防ぐため、本種の葉は細長く(流線型)、葉柄は不明瞭となっていて、キク属には珍しく渓流に適応していると考えられています。
北園と南園を結ぶ連絡道ではアコウ(クワ科)が見ごろです。本種はイチジクと同様に、袋状になった内側に花を咲かせるために花は外から見えません(花のうという)。枝や幹いっぱいに花のうがつく様子は少し奇妙に見えるかもしれません(花が幹に直接つく形態を幹生花という)。
花が外から見えない本種には花粉を運んでくれる体長1ミリちょっとのアコウコバチという昆虫がおり、実は園内でも観察できます。花のうには小さな穴があって、雌の成虫が侵入します。アコウとアコウコバチは共生関係が成り立っており、アコウは花のうの内部に無数にある花を産卵の場としてアコウコバチに提供し、アコウコバチは花粉を運び込んでアコウの受粉を助けます。アコウの花のうをよーく観察してみると皆さんもアコウコバチの雌成虫を見つけられるかもしれません。
中門から園地に降りて左にある建物、土佐寒蘭センターでは、カンラン(ラン科)の鉢植えがご覧いただけます。本種は国内では本州(静岡県以西)、四国、九州および沖縄の温暖な地域の林内に生育します。花色、花形、葉姿は多様で、特に高知県は園芸価値の高い銘品を数多く産出しました(土佐寒蘭)。需要の高さから自生地では山採りが横行し、今では野生個体を見る機会はそうそうありません。
11月8日現在、素芯の蛍雪(けいせつ)や白千代(はくちよ)、紅色の御神錦(みかどにしき)や紅琳(こうりん)など「私が一番」と咲き競っている様をご覧いただけます。来週15日(金)から17日(日)まで毎年恒例の 寒蘭展 も本館内映像ホールと五台山ロビーで開催します。愛蘭会会員が丹精込めて育てた、その幽玄なる美と香りをこの機会にぜひお楽しみください。
広報課ガイド担当 西村佳明
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今週の見ごろの植物
今週の見ごろマップ
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