【11/15】見ごろの植物を更新しました
本日15日(金)から17日(日)まで、毎年恒例の 寒蘭展 を開催中です。寒蘭展をご覧になるには正門からの入園が近くてお勧めです。明日16日(土)まで雨予報なので雨具を忘れずにご来園ください。
それでは、今週も園内をくまなく調査した「いまが見ごろの植物」をガイド担当がお届けします。
今週の見ごろの植物
What’s in Bloom
毎週、園内を巡回しておとどけします。
秋の園内では各所で当園自慢のさまざまな野生菊(キク科キク属)をご覧いただけます。似たものが多く、なかなか取っつきにくい仲間ですが、葉なども見ながら違いを探してみると面白いですよ。
まず、みなさんはキクの‘花’をどう捉えていますか。例えば、左の写真は展示館中庭のナカガワノギク(キク科)。花はいくつに見えますか?
4つに見えるでしょうけど、正解は「数えきれないほどたくさん」です。その理由は分解するとわかります(右の写真)。ナカガワノギクは周囲に白い花びらに見える部分と中心に黄色の粒状の部分があります。白い花びら状に見える部分は舌状花、黄色の粒状の部分は管状花(筒状花)とよばれます。それらを取り出すと、それぞれに花の基本構造があります。このことから一つに見える花は、実はたくさんの花(小花)の集まったもの(頭花と呼ぶ)であることがわかります。今週は野生菊に注目して紹介してみます。
北園と南園を結ぶ連絡道ではサツマノギクとシオギクが見ごろとなりました。
サツマノギクは鹿児島県と熊本県の東シナ海沿岸や、甑島(こしきじま)、宇治群島などの離島に生育します。舌状花は白色、葉の裏面は毛が密生して銀白色で、表から見ても白く縁取られているように見えます。
シオギクは徳島県の蒲生田岬から太平洋岸に沿って高知県の物部川流域までに分布します。本種の最大の特徴は舌状花を全く欠き、頭花は管状花のみからなること。千葉県の犬吠埼から静岡県御前崎までに分布するイソギクに似ますが、イソギクの頭花の径が5-6ミリに対し、シオギクは8-10ミリとシオギクのほうが頭花が大きくなります。
展示館の中庭や南園では、ノジギクが咲きはじめました。牧野博士が1884(明治17)年に現・高知県仁淀川町の路地で発見しました。牧野博士は「野路の菊という意味だ」と和名の由来を述べていますが、本種はどちらかというと主に海岸沿いに生育し、兵庫県を東限とした本州の瀬戸内海沿岸や、四国(南東岸を除く)、九州に分布します。
先にご紹介したシオギクとはすみ分けをしていて、高知県内では物部川を境に西にはノジギクが、東にはシオギクが分布しています。
さて、イベントのご紹介です。冒頭でも告知致しましたが、本日15日(金)から17日(日)まで、毎年恒例の 寒蘭展 を開催中です。
本館内映像ホールには、愛蘭会会員が丹精込めて育てたカンラン136鉢などを展示しています。17日(日)までと期間が短いためご注意ください。その幽玄なる美と香りをこの機会にぜひお楽しみください。
広報課ガイド担当 西村佳明
マークの植物名をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。
今週の見ごろの植物
今週の見ごろマップ
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