【7/11】見ごろの植物を更新しました
蒸し暑い園内ですが、水分・塩分の補給を忘れずに園内散策をしてみませんか。本館や展示館など冷房が効いた屋内での休憩もお忘れなく。いよいよ来週の土曜日から牧野植物園の夏のイベントのひとつ【食虫植物展】が始まります。栄養の少ない環境で生きるためにいろいろなワナをしかけて虫を捕らえて栄養にする食虫植物を、その独特な暮らしや多様性を紹介します。夏休みの自由研究にもどうぞ。
食虫植物展
今週も園内で見ごろとなっている植物をご紹介します。

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
フウラン(ラン科) Vanda falcata (Thunb.) Beer


長い口吻を伸ばして吸蜜するスズメガの頭に花粉塊を付けて花粉を運んでもらう。
本州(関東地方南部以西)・四国・九州、朝鮮、中国に分布し、岩やほかの樹木に着生するランの仲間です。園内では土佐の植物生態園のマルバチシャノキや、回廊のイチイガシ、南園のアキニレなどに着生させています。白い花は夜になると甘い香りを強く放ち、夜行性のスズメガの仲間を誘引します。その長い距(きょ)の先には蜜があり、誘引されたスズメガが口吻(こうふん:ストロー状の口)を伸ばして蜜を吸う際に、頭に花粉塊がくっつき、意図せず他の花へ花粉を届ける運び屋(ポリネーター)に仕立てられます。朝や夕方でも甘い香りが残っており、特に、土佐の生態園の株は目線の高さにあるので香りを楽しんでみてください。
オジギソウ(マメ科) Mimosa pudica L.

‘動く植物’として有名な本種の鉢展示が、今年もふむふむ広場のふれあいの庭エリアで始まりました。7/11現在、花はまだこれからです。本種はブラジルを中心とする熱帯アメリカ原産で、日本には江戸時代末期(天保12年)に渡来したとされています。寒さに弱く、国内では一年草として扱われますが本来は多年草であり、よく育った株は茎が木質化します。なぜ素早く葉が動くのか。埼玉大学の豊田正嗣教授らのチームは、遺伝子の組み換え技術を使って‘動かない’オジギソウを生み出して比較したところ、動かないオジギソウはバッタなどにより多く食べられることが明らかとなり、葉を閉じることによって葉が無くなった枝に誤認させる、あるいは葉の面積を減らして虫の足場をなくすことで食べられにくくする防御反応としての役割があることがわかりました。ぜひ触れて葉が閉じる様子を観察してみてください。
ハマボウ(アオイ科) Hibiscus hamabo Siebold et Zucc.


土佐の植物生態園と南園の牧野富太郎像そばに植栽があります。本種は国内では本州(関東地方南部・東海地方・紀伊半島・中国地方)、四国、九州、琉球に分布し、海岸や河口域の砂泥地などに生育します。学名が示す通りハイビスカスの仲間で、黄色の一日花を次々と咲かせます。大変美しい花を咲かせる本種ですが、河川や海岸線の改修工事や伐採などで国内の多くの府県で絶滅が危惧されており、高知県レッドデータブック(2022)では絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。真っ青な青空に映える希少な花をぜひご覧ください。
広報・ガイド班長 西村 佳明
マークの植物名をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。
今週の見ごろの植物
今週の見ごろマップ

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