【8/15】見ごろの植物(タヌキマメ、イトヒメハギ、夜咲く植物)を更新しました

蒸し暑い園内ですが、夏にも負けずに多くの植物が花を咲かせています。水分・塩分の補給を忘れずに園内散策をしてみませんか。本館や展示館など冷房が効いた屋内での休憩もお忘れなく。

牧野植物園では明日(8/16)と明後日(8/17)の2日間限定で毎年好評の夜間開園イベント『夜の植物園』を開催します。なぜ夜に咲くのか、昼に咲く花と何が違うのか。夜に咲く植物のふしぎをうす暗い園内で観察してみませんか?

それでは今週も園内で見ごろとなっている植物をご紹介します。

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

ヒメトラノオ(オオバコ科)
キノクニスズカケ(オオバコ科)
ササガニユリ(ヒガンバナ科)
ネペンテス・トルンカタ(ウツボカズラ科)
ヒオウギ(アヤメ科)
オオヒナノウスツボ(ゴマノハグサ科)
キセワタ(シソ科)

タヌキマメ(マメ科) Crotalaria sessiliflora L.

午後になると青紫色の蝶形花を咲かせる。ガクには褐色の粗い毛が密生する。
本種はマメ科では珍しく単葉。葉の裏面や茎には細かな毛が密生する。

土佐の植物生態園でご覧いただけます。本種は本州(東北地方の南部以南)、四国、九州、琉球、アジア各地に広く分布する一年草で、日当たりのよい草地や原野に生育します。複葉が多いマメ科のなか、本種はめずらしい単葉で、線形もしくは披針形の葉が互生します。和名は、褐色の毛が密生したガクをタヌキに見立て、それに包まれた豆果の様子に由来するようです。きれいな青紫色の蝶形花は午後になると咲きはじめ、夕方には花を閉じてしまう一日花。観察は午後をおすすめします。

イトヒメハギ(ヒメハギ科) Polygala tenuifolia Willd.

花は青紫色で小さいながらも、付属体が目立つ特徴的な形をしている。
乾燥させた根から芯(中心部)を抜いた根皮を生薬名:遠志(オンジ)とよぶ。

薬用植物区で密かに咲いています。”イト”と名のあるとおり、草姿は糸のように細く、背丈も高くなくて目立ちません。おまけに花も5,6ミリくらいと小さくて、花に気づく方はいったいどれほどいるでしょうか。本種は中国北部原産の多年草で、現地では日当たりのよい植生がまばらな山肌などに生えます。主に根を薬用として用い、乾燥させた根から芯(中心部)を抜いた根皮を生薬名:遠志(オンジ)とよび、神経症や不眠症の改善や、去痰、面白いものでは中高年のもの忘れの改善に効果があるとされています。

イトヒメハギの花の構造
花後にできる種子にはエライオソーム(種沈)とよばれる
ものが付着していて、アリが種子ごと巣まで運ぶ。
【参考】ヒメハギは日本各地の日当たりのよい山野で見られる。

小さな花を観察してみました。花弁は3個(上側の2個と下側の1個)あって、下側の花弁(竜骨弁)は先が細かく裂けて房状になる付属体があります。ガクは5個あり、内側の2個が大きく花弁のように弁化し、ほかにも上に1個、下に2個の小さなガクが確認できます。小さいながらも作りが凝っていますので、しゃがんで観察してみてください。ちなみに、日本には近縁のヒメハギが日当たりのよい山野で見られ、よく似た花の構造をしています。

花後にできる種子にはエライオソーム(種沈)とよばれる脂肪酸などを含んだアリが好むものが付着していて、アリが種子ごと運んでいき、巣では不要な種子だけ捨てられます。アリの力を使って親元から離れた所へ種子を拡散させるこの効果的な散布方法をアリ散布とよび、この方法を採る植物(アリ散布植物)はほかにもスミレの仲間やカタクリ、カタバミ、ムラサキケマンなどさまざま存在します。

夜咲く植物たち(ごく一部をご紹介)

ツキミソウ(連絡道)
見ごろの目安18:30ごろ
スイレン属の園芸品種‘デリカティッシマ’(南園)
見ごろの目安20:00ごろ
ユウスゲ(連絡道)
見ごろの目安18:30ごろ

明日(8/16)と明後日(8/17)の2日間限定で毎年好評の夜間開園イベント『夜の植物園』を開催します。今年は『夜の植物を学ぶ』と『夜の植物園で憩う』をコンセプトに、普段歩けない薄暗い園内を散策しながら、夜に開花したり香りを放つ植物の生態や特徴を観察することができます。

各展示ブースではこれまでのパネルや展示物などを大幅リニューアル。スタッフによる「夜に咲く植物のふしぎ」の解説を聞いて、見て、理解を深めることができ、お子さんの自由研究にも最適です。ほかにもワークショップや音楽演奏、キッチンカーによる飲食出店など盛りだくさんの内容で皆さまのご来園をお待ちしております。

サガリバナ(温室)
見ごろの目安19:30ごろ
ザーバオバブ(温室)
見ごろの目安19:30ごろ(天候により開花しない場合もあります)
カラスウリ(回廊)
見ごろの目安20:30ごろ

さらに、温室内には『温室内鑑賞タワー』を設置。夜の植物園の開園時間限定で約8メートルの高さまで登ることができ、普段体験できない温室を見渡す景色を堪能できます。運と天候が合えば隣のザーバオバブの咲いた花を近くから観察できるかも!?

8/16(土)と17(日)は夜の植物園へぜひお越しください。詳しくはこちら

※当日は混雑が予想されます。JR高知駅北口と植物園を結ぶ無料シャトルバスをご利用ください。

広報・ガイド班長 西村 佳明

マークの植物名をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。

今週の見ごろの植物

ネペンテス・トルンカタ(ウツボカズラ科)
アギナシ(オモダカ科)
フウリンブッソウゲ(アオイ科)
ミソハギ(ミソハギ科)
ビロードムラサキ(シソ科)
ヒナシャジン(キキョウ科)
ヒゴタイ(キク科)
ハブソウ(マメ科)
ハエトリグサ(モウセンゴケ科)
ナツズイセン(ヒガンバナ科)
テバコマンテマ(ナデシコ科)
スダレギボウシ(クサスギカズラ科)
スイレン属の園芸品種’セントルイスゴールド’
コガネバナ(シソ科)
キノクニスズカケ(オオバコ科)
キセワタ(シソ科)

今週の見ごろマップ

「見ごろ植物マップ&フォト」過去1年分もダウンロードできます。「見ごろカレンダー」のページで確認してみてください

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