ミカン属の仲間の果実が見ごろです(1/30更新)

ミカン属(Citrus)の仲間の果実たち
ミカン属の仲間の果実。最奥がザボン(文旦)、手前左側からダイダイ、ナオシチ、タチバナ、ヒラミレモン、キンカン

こたつに入りテレビを見ながら食べるウンシュウミカン(みかん)、見上げたしめ縄からぶら下がるダイダイ、果物屋で箱詰めされた輝くザボン(文旦)――主に晩秋から冬に完熟するミカン属の果実(いわゆる柑橘類)は私たちの生活や文化に深く根付いています。ね、情景が目に浮かぶでしょ?

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

ミカン属(Citrus)について

ミカン属の仲間は東アジアから南アジア、オーストラリア、南西太平洋諸島の熱帯から暖帯に分布します。果実がよく利用されており、果皮に多く含まれる精油成分を香水や香料にしたり、食味が良いものは生食のほかジュースやジャムなどに加工されるほか、酸味の強いものは調理酢に、また漢方原料として薬用に用いるものもあります。ミカン属の仲間を一般には柑橘類とよび、日本では、西日本を中心にウンシュウミカンをはじめとする柑橘類の産地があります。

ここ高知県は温暖な気候と豊富な雨・日照時間からミカン属の栽培が盛んで、ウンシュウミカン(香南市の山北みかん)、ザボン(土佐市の土佐文旦)、ユズ(北川村や馬路村の柚子)などが全国的に有名なほか、四万十市を中心に栽培され、刺身に果汁を絞るモチユ(ぶしゅかん)は高知県民のソウルフードとなっています。これら高知県で栽培が盛んなミカン属の仲間は、ふむふむ広場の土佐の畑エリアや薬用植物区を中心とした園内各所でご覧いただけます。落葉した木々や地上部が枯れた草本などに混ざって、青々とした葉とともに黄色やオレンジ色に色づいた果実をたわわに実らせるようすは、寒くて気分が沈みがちになる私たちを明るく楽しい気分にさせてくれます。

果実はミカン状果で、私たちが食べる部分は子房内部の毛が液質になって満たしたものです。多数の室に分かれており、中には果肉のほか数個の種子があります。葉にも特徴があり、発達の程度は種によって異なるものの、葉の葉柄には翼(よく)とよばれるひれ状のものがつくので、葉も併せて見比べても面白いでしょう。温室に植栽があり、エスニック料理には欠かせないコブミカンの葉は葉身とサイズに近いくらい翼が発達します。

果実(ミカン状果)の断面。多数の室に分かれ、それぞれ子房内部の毛が液質になって満たされる。
種子には胚乳はなく、大きな子葉をもつ胚で占められる。
葉の比較:左からタチバナ、ユズ、ダイダイ、ザボン(文旦)、コブミカン
タチバナはあまり翼が発達せず、コブミカンは葉身のサイズに近いくらいまで発達する
ふむふむ広場に植栽のミカン属の仲間

ふむふむ広場にはザボン(文旦)ユズナオシチキンカンモチユオオベニミカンヒュウガナツの栽培品種ブシュカンウンシュウミカン‘ゆら早生’の9種類が植栽されています。1/30時点で樹上に成った果実がご覧いただけるのは、ザボン(文旦)など以下の5種類です。

ザボン(文旦)
ナオシチ
キンカン
ヒュウガナツの栽培品種
ブシュカン

写真にするとそれぞれの果実の大きさが伝わりにくいですね。このうち、ザボンは高知県では文旦とよばれています。東南アジア原産と考えられており、日本には江戸時代に伝わったとされています。本種は寒さに弱く、温暖な高知県は国内で流通するザボンの90%以上を生産する一大産地となっています。2月ごろになると追熟して酸味が落ち着いたものが流通するようになり、果物屋さんの店頭に大きなビニール袋いっぱいに詰めたザボンが所せましと並ぶようすは、まさに高知の冬の風物詩です。

薬用植物区に植栽のミカン属の仲間

薬用植物区にはタチバナダイダイヒラミレモンキンカンの4種類が植栽されており、1/30現在、すべての種類の果実がご覧いただけます。

タチバナ
ダイダイ
ヒラミレモン(シークワーサー)

このうち、タチバナは本州(伊豆半島以西)・四国・九州・琉球の常緑樹林内に生え、高知県内では県東部から西部の海岸林や内陸の石灰岩地に自生します。各地で絶滅が危惧されており、土佐市の「甲原松尾山のタチバナ群落」は国指定の天然記念物です。また、環境省レッドリスト(2020)では準絶滅危惧(NT)に、高知県レッドデータブック(2022)では絶滅危惧ⅠB類(EN)にそれぞれ指定されています。果実は酸味が強く、また小さい果実の割に種子も多く生食には適しません。牧野博士が1896(明治29)年に学名を記載しました。

まだまだ寒い日が続きますが、ミカン属の仲間の果実や葉の違いを観察してみませんか。

今週のバイカオウレン

1/30現在の開花状況です。一部で白い萼が散った花も見られますが開花最盛期といっても差し支えありません。状態のよい花が多く、観察や撮影に大変おすすめです。

広報・ガイド班長 西村 佳明