シロバナセンダンが咲きました(5/15更新)

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
シロバナセンダン(センダン科)


展示館の外(南側)の道沿いと連絡道の展望台の2か所に植栽があります。センダンの白花品種で、1914(大正3)年、牧野博士が佐川町で栽培されているものをもとに「植物学雑誌」にて学名と和名を発表しました。


母種のセンダンは国内では本州(関東以西)・四国・九州・琉球の林道沿いや河川敷など、暖地の日当りのよい場所に生育します。園内ではこんこん山広場の東屋近くのウッドデッキそばにセンダンがあり、こちらも見ごろです。ウッドデッキに張り出した枝があるので、目線の高さでその美しい花が観察できます。強くはありませんが甘い芳香もあります。
花はそれぞれ5枚の花弁と萼があり、中央には1本の雌しべとそれを囲む、筒状に合着した10本の雄しべがあります。筒状の雄しべを割ってみると、葯が筒の入り口の内側をぐるっと囲んでいることがわかります。
樹皮や果実には駆虫効果があり、樹皮を乾燥させたものを苦楝皮(クレンピ)とよび、かつては煎じた汁を回虫や条虫などの虫下しに服用していました。ちなみに、大成する人は幼いころより優れているという意味の慣用句である「栴檀は双葉より芳し」の栴檀は香木の一種、ビャクダン科のビャクダンのことであり、混同されがちですが全くの別種です。
イイギリ(ヤナギ科)

こんこん山広場に植栽があります。トイレから外周をさらに進むと右側に背の高い株がありますが、その高さゆえ花の観察が難しい状況でした。それが、こんこん山広場の台湾産ツツジ属植物エリアに勝手に生えた2株が目線の高さで花を咲かせているので、この機会に花の違いを観察してみませんか。※黒い解説ラベルは近日中に設置予定、下の地図を参考に探してみてください。


本州・四国・九州・琉球の山林中に散発的に生える落葉高木で、枝先に円錐花序をつけ垂れ下がります。本種も最近ブログでよく取り上げる雌雄異株で、我々人間と同じようにオスメスがあり、雄株は雄花を、雌株は雌花をそれぞれ咲かせます。雄花には多数の雄しべ、雌花には痕跡的な雄しべと1本の雌しべがあります。


和名は「飯桐」で、昔、飯をこの葉で包んだことに由来します。撮影していると雄花、雌花ともハナムグリが訪花しており、花粉の媒介に一役買っていそうでした。
ムラサキ(ムラサキ科)

南園の石灰岩植生園から結網山へ登り始めると右側に点在して生えています。和名は群れて咲く様子「群ら咲き」に由来します(諸説あり)。


本種の根には表皮を中心にシコニンやアセチルシコニンという色素を含み、本種の根を染め物に用いると鮮やかな紫色を呈します。能力ある人材を役人に登用するための身分制度である『冠位十二階』の中では最高位に与えられる色として、古くは飛鳥時代より特別視されてきました。また、本種の十分に育った根を掘りあげて乾燥させたものを生薬名:紫根(しこん)とよび、炎症を抑えることから紫雲膏(しうんこう)という軟膏剤にして用いられます。
まさに有用植物である本種は、かつては北海道から九州の日本各地で見られましたが、主な自生地である草原の開発や盗掘などによって全国各地で絶滅が危惧され、環境省レッドリスト(2020)では絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。直径5ミリ程度の小さな花ですが、日本と日本人の暮らしに寄り添ってきた、その文化的側面にも思いを馳せると一層、保全への思いを強くさせます。
広報課 西村佳明

