キイレツチトリモチが見ごろです(11/6更新)

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

朝晩が冷え、秋の深まりを感じます。園内ではダルマギクやハマギク、タイキンギクなど、キク科の植物が園路を彩っています。また、南園の土佐寒蘭センターでは来週13日(金)から15日(日)に開催される第22回寒蘭展に先立ち、室内には所狭しとカンランの園芸品種群が咲き競っています。

キイレツチトリモチ(ツチトリモチ科)
キイレツチトリモチ 土佐の植物生態園にて11/6撮影

今年も当園の隠れた人気者、キイレツチトリモチが見ごろとなりました。本種の詳しい解説は昨年の記事:キイレツチトリモチが咲きました(11/14)をご覧ください。

本種は本館の受付窓口そばでご覧いただけます。窓口から土佐の植物生態園を見ると、道の両側に石垣があります。その石垣に設置した枕木の足場を上ると、一段高い場所にトベラがあり、その株元でキノコのような姿をした花序を観察できます。

雄花や雌しべが褐変する

花序には花被片が3枚の雄花がまばらに点在しています。11月6日現在、雄花が開いたばかりの新しい花序から、雄花が咲き終わり、まるで「チョコチップ」をまぶしたように見える花序まで、状態の違いを比較しながら観察いただけます。

メナモミ(キク科)
メナモミ 展示館中庭にて11/6撮影

展示館の中庭に植栽があります。一部では黒い痩果(そうか:キク科に多く見られる果実)が顔をのぞかせているものもありますが、まだまだ花もご覧いただけます。

【参考】オオオナモミ 茎頂や葉腋に雄頭花と雌頭花を咲かせる

本種は北海道(南部)・本州・四国・九州、朝鮮半島、中国からヒマラヤに分布する一年草で、明るい山野に生えます。和名からオナモミを思い浮かべた方もいるかもしれません。「メ」は雌を意味し、オナモミの「オ(雄)」に対比した名前ですが、メナモミはメナモミ属、オナモミはオナモミ属にそれぞれ属し、同じキク科でも分類上は別の属に分けられています。

頭花は鱗片に包まれた舌状花、筒状花、5枚の総苞片からなる
舌状花と筒状花の違い

ほかの多くのキク科植物と同様、小花が集まった集合体である「頭状花序(頭花)」をもち、中央部には筒状花、周辺部には舌状花という複数の小花が集まって、一つの花のように見えます。頭花の基部には5枚の総苞片があり、正面から見ると、まるでヒトデのように広がっています。

頭花の基部には5枚の総苞片があり、周囲に広がる
総苞片には内側に腺毛が、外側に長毛が密生する

オナモミと対比されることからも想像できると思いますが、本種もいわゆる「ひっつき虫」。総苞片には内側に柄のある腺毛が、外側には長毛が密生しており、花柄や花床の鱗片にも腺毛が見られます。腺毛の先端からは粘液が分泌され、触ると少しネバネバします。果実が熟すころ、枯れた草体に人や動物が触れると頭花ごと付着し、果実が運ばれます(動物散布)。

1904(明治37)年、牧野博士は本種をツクシメナモミの品種、Siegesbeckia orientalis f. pubescens Makino として発表しました。その後、1917(大正6)年、「植物研究雑誌」第1巻第7号において、博士自身が独立した種として再整理しています。

現在、本種の学名は Siegesbeckia pubescens (Makino) Makino です。学名の後ろに付く「(Makino) Makino」は、牧野博士が最初に本種を発表し、その後、独立した種として分類し直したことを表しています。自ら発表した分類を見直し、より適切な位置付けを探っていく。博士の研究に対する真摯な姿勢が、この短い表記からもうかがえます。

ハヤトウリ(ウリ科)
ハヤトウリ ふむふむ広場にて11/6撮影

ふむふむ広場の土佐の畑エリアでは、ハヤトウリが食べごろの大きさに育った果実を実らせています。

本種は熱帯アメリカ原産のウリ科のつる性多年草です。日本では冬の寒さで枯れてしまうため、一年草のように栽培されますが、原産地などの温暖な地域では、地下に塊根を形成し、長年にわたって生育します。暖かい季節にはつるを旺盛に伸ばし、巻きひげを他の植物や構造物に絡ませながら生い茂ります。

雄花と雌花

本種はほかの多くのウリ科植物と同様に、雄花と雌花の2種類の花を咲かせます。両者とも葉腋(葉の付け根)につき、雄花は複数の花が集まって咲くのに対し、雌花は単生します。雄花には複数の雄しべがあり、葯が合着してまとまって見えます。一方、雌花には雌しべがあり、ハヤトウリをそのまま小さくしたような子房のふくらみが見られました。

1個の大きな種子を持つ
チャーテと豚肉の炒め物

自宅の冷蔵庫にちょうどハヤトウリがあったので、縦に割ってみました。メロンやキュウリなど、多くのウリ科植物の果実には多数の種子が形成されますが、ハヤトウリは1個の大きな種子を持ちます。私は皮をむき、この大きな種子を取り除いてから調理しますが、みなさんはハヤトウリを食べたことはありますか?

ここ高知県では本種の果実を「チャーテ」とよび、秋の食材として親しまれています。家庭菜園で自家消費するために栽培されることも多く、近所同士のおすそ分けも盛んです。もし、県外の方で食べたことがない方は、当園を散策した帰りにスーパーに寄ってみてください。産直コーナーで安価に入手できますよ。

私はスライスして豚肉と炒め、醤油、砂糖、みりん、かつおの顆粒だしで味付けするのが大好きです。お昼休みにさっと調理して食べましたが、我ながら完璧な味付けで美味しかったです。

広報課 西村佳明