【12/13】見ごろの植物を更新しました

園内各所、特に南園ではカエデの仲間やニッサボク、ヌマスギなどの紅葉がご覧になれます。晩秋の園内で花と紅葉を楽しみませんか?

それでは、今週も園内をくまなく調査した「いまが見ごろの植物」をガイド担当がお届けします。

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

キイレツチトリモチ(ツチトリモチ科)
ヒロハノミミズバイ(ハイノキ科)
マルバテイショウソウ(キク科)
コブシの冬芽(モクレン科)
イロハモミジの紅葉(ムクロジ科)
ノジギク(キク科)

朝起きるのが辛いくらい寒くなってきましたが、園内では晩秋から初冬の花が寒さにも負けず健気に咲いています。さて、今週は、とても魅力的だけど場所が分かりづらくて来園者に見つけてもらえない。そんな「ちょっぴり損な」見ごろの植物を、道案内を含めながらご紹介します。

キイレツチトリモチは本館の受付窓口そば、道の両側にある石垣の上でご覧いただけます。
雄花は三弁でまばらに点在し、雌花は白い毛のようなめしべだけが確認できます(12/13撮影)

まずひとつ目は、だんだん知名度が上がってきたもののまだまだ見逃す方が非常に多いキイレツチトリモチ(ツチトリモチ科)。本館の受付窓口そば、道の両側に石垣があり、石垣の上に植栽のトベラの株元でご覧いただけます。枕木で階段を作っているので上がって観察してみてください。今年は窓口からみて右側のほうが花数も多く大変見ごたえがあります。本種は寄生植物で、トベラなどの根から栄養を奪って育ちます。和名の由来は鹿児島県喜入町で採集されたことに因り、牧野博士が学名を発表した「博士ゆかりの植物」でもあります。地上に飛び出したまるでキノコのような部分は花序(花の集まり)であり、まばらに点在する三弁の雄花と多数の雌花を含みます。これから咲くものも多く、年明け後もしばらく楽しめそうです。

連絡道から石の階段を上っていく
石階段の途中で左に曲がると本種に出会える
ヒロハノミミズバイの花(12/13撮影)

続いてご紹介するのはヒロハノミミズバイ(ハイノキ科)。連絡道からこんこん山へと上る石の階段を進んで、左に曲がった先に植栽されています。階段が少し急なので、足元には細心の注意を払ってお進みください。本種は四国(徳島県・高知県)と九州(種子島・屋久島)およびトカラ列島に分布する常緑樹で、高知県では室戸市など県東部でみられます。ミミズバイとはミミズの頭に似た果実をつけるハイノキの仲間の意で、近縁のミミズバイよりも葉が広いことから。まだまだ蕾も多く、しばらく楽しめそうです(2023年は1月第2週くらいまで見ごろが続きました)。

土佐寒蘭センター脇の木戸を通り抜けるとマルバテイショウソウに出会えます。
本種の頭花は3つの小花からなる。よく見ると蜜が溜まっている。
本種の花の構造

最後に紹介するのはマルバテイショウソウ(キク科)。土佐寒蘭センターの脇にある小さな庭に植栽されています。土佐寒蘭センターは中門がある植物研究交流センター1Fから園地に出て、左に曲がるとすぐです。木の戸を通り抜けて探してみてください。本種は四国(高知県)と九州(宮崎県・熊本県・鹿児島県)の温暖な地域の林の下にまれに生える多年草で、高知県では土佐清水市でのみ確認されています。絶滅が危惧されており、環境省レッドリスト(2020)では絶滅危惧II類、高知県レッドデータブック (2022)では絶滅危惧IA類にそれぞれ指定されています。花は小さいながらも愛らしい姿をしており、よく観察すると、深く5裂して先端がカールした花冠をもつ、3つの小花からなることが分かります(真ん中の写真)。小花にはそれぞれおしべ(集葯おしべ)とめしべがあり、昆虫に受粉してもらおうと、こぼれんばかりの蜜を溜めています。生態園のバクチノキの下にも植栽がありますが、こちらの開花はもう少しかかりそうです。小さな花なのでしゃがんで観察してみてください。

広報課ガイド担当 西村佳明

マークの植物名をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。

今週の見ごろの植物

ヤマラッキョウ(ヒガンバナ科)
ブンタン(標準和名:ザボン)(ミカン科)
ヒロハノミミズバイ(ハイノキ科)
ナカガワノギク(キク科)
ツワブキ(キク科)
タイワンツバキ(ツバキ科)
タイキンギク(キク科)
センリョウ(センリョウ科)
シオギク(キク科)
サネカズラ(マツブサ科)
コブシ(モクレン科)
コヒガンザクラ‘十月桜’(バラ科)
キバナアマ(アマ科)
カンツバキ’勘次郎’(ツバキ科)
カイドウツバキ(ツバキ科)
イロハモミジ(ムクロジ科)

今週の見ごろマップ

「見ごろ植物マップ&フォト」過去1年分もダウンロードできます。「見ごろカレンダー」のページで確認してみてください

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