【6/13】見ごろの植物を更新しました
明日14(土)から7月6日(日)の土日に『初夏のガーデンツアー』を開催します。ヒメアジサイやハンゲショウなどの草花が彩る園内を、職員がさまざまな視点から解説する人気のガイドツアーで、①10:30 ②13:30の1日2便を実施します。当日、朝9時から先着順で受付しますので、ぜひ奮ってご参加下さい。

初夏のガーデンツアー
それでは今週も見ごろの植物をご紹介します。
見ごろの状況

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
ミズキンバイ(アカバナ科)



見ごろの植物データベースにはまだ登録がありませんが、土佐の植物生態園の池と、南園の池にて本種の鮮やかな黄色の花がご覧いただけます。国内では関東以西から四国、九州に分布し、池や沼、水田などに生育します。開放水面では面的に広がり水面を覆うことも。初夏から秋にかけて、鮮やかな黄色の5弁の花(一日花)を咲かせます。日当たりを好み、好条件では旺盛な生育を示しますが、柔らかい草体のため自重で倒れて草丈があまり高くならず、ガマやヨシなど草丈の高い植物が侵入してくると光をめぐる競争に敗れてしまいます。水田の耕作放棄や土地の開発などで全国的に絶滅が危惧されており、環境省レッドリスト(2020)では絶滅危惧Ⅱ類(VU)、高知県レッドデータブック(2022)では絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。本種をよく観察すると、節から出る2つの異なる不定根を確認できます。このうち水面に浮かぶ白い尾状の根は呼吸根と呼び、ガス交換を担っています。さわるとフワフワしていて個人的には花に次いで好きなポイントです。



薬用植物区ではコガネバナが見ごろとなりました。牧野博士は葉がヤナギのように細いことからコガネヤナギという名前をつけましたがこちらの名前は一般的ではありません。本種はロシア、モンゴル、中国北部に分布するシソ科の多年草で、赤紫~青紫色の花を咲かせます。…ん?紫色の花なのにコガネバナ?…じつは、和名は花の色ではなく、鮮やかな黄色を呈する根に由来します。本種の根は薬用に用い、表皮を剥いで乾燥させた根は生薬名:黄芩(おうごん)と呼ばれ、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)や大柴胡湯(だいさいことう)などの漢方薬に配合されます。国内での年間使用量は475トン (山本ら 2025)にもなりますが、その全てを中国からの輸入に依存しており、国産化が望まれる品目のひとつです。ぜひ近づいて花をよく観察してみてください。本種を含むタツナミソウ属の名前の由来は花の形が波立つ様子に見えることから。まさにそのように見えませんか?



連絡道から牧野博士像に下りる手前には大きなムクロジが生えています。本州の関東以西から、四国、九州、琉球、小笠原の山中に生え、神社の社寺林にも植えられることがあります。花序(花の集まり)の中には雄花と雌花が多数混在しており、果実は10~11月ごろに熟します。果実にはサポニンを多く含んでおり水に浸して揉むと泡立つので、昔は石鹸の代用とされたようです。写真のとおり保存していた果実を使って実際に試してみましたが、非常に細かくクリーミーな泡ができ、汚れがきれいに落ちそうです。果実の中には直径1.5センチ程度の黒色の種子が1つ入っており、羽根突きの羽根の玉や数珠などに使われました。6/13現在、咲きはじめで、枝先にたくさんの花序が観察できます。比較的高い位置にあるので双眼鏡や望遠レンズを付けたカメラで観察してみてください。
広報・ガイド班長 西村 佳明
マークの植物名をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。
今週の見ごろの植物
今週の見ごろマップ

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