ネムノキが咲きました(6/12更新)

今週の見ごろの植物
What’s in Bloom

毎週、園内を巡回しておとどけします。
ネムノキ(マメ科)


こんこん山広場のトイレのあたりでピンク色の小花が集まってポンポンのような半球形になった花序がご覧いただけます。国内では本州から琉球に生える落葉高木で、川沿いや林縁など日当たりが良い環境を好んで生育します。葉(小葉)が夜間に閉じる「就眠運動」が知られており、和名のネムノキはそのようすを睡眠に見立てたことに因ります。
花は枝の上部に上向きに咲かせるため、根元から見上げると花を見ることはできません。花は夕方から咲きはじめ、翌日にはしぼんでしまうので、花を観察する場合は朝の早いうちに来園し、目線の高さで観察できるトイレあたりまでこんこん山広場を登ることをおすすめします。


ポンポンのような美しい花序を詳しく観察してみます。頭上だと気づきませんが、鼻を近づけると甘い香りがします。1つの花序は20個ほどの小花の集まりで、多数の雄しべと1つの雌しべが長く飛び出し、「ポンポン」を形作っていることがわかります。


小花には花序に1つだけある「頂生花」と残りの「側生花」があり、両者は形態や機能が少し異なります。小花には目立たない筒状の萼と花弁がありますが、頂生花は萼と花弁が側生花のそれらより少し長く、雄しべは中ほどあたりまで合着し、その後、放射状に広がります。頂生花と側生花のどちらにも雌しべには子房があり、結実します。

20個ほどある小花のうち、蜜が入っているのは頂生花の1つだけ。訪花したチョウやガはアタリ(蜜入り)の小花をさがして口吻を次々に挿し込みます。花序につき1つの花だけに蜜を用意すればよいのでネムノキにとっては労力やコストが少なくて済みますね。
アメリカノリノキ‘アナベル’(アジサイ科)


南園と展示館を結ぶ連絡道や南園の蛇紋岩植生園のそばでご覧いただけます。アジサイの仲間(アジサイ科アジサイ属)のなかでも白色のてまり咲きで非常に人気がある園芸品種です。いわゆる西洋アジサイを含む多くの園芸品種がガクアジサイやヤマアジサイなど日本原産のアジサイの仲間をルーツとするなか、本種は北米に分布するアメリカノリノキをもとにオランダで作出された園芸品種です。


以前のブログで紹介しましたが、アジサイの仲間の花序(花の集まり)には、萼が花弁のように変化した「装飾花」と粒々の目立たない「両性花」という2つの異なる花が存在します。それぞれ役割が異なり、装飾花はその華やかな見た目で訪花昆虫を誘引する役割を、両性花は結実し子孫を増やす役割を担います。‘アナベル’はほとんどの花が装飾花になっており、花序の直径が20センチ前後と見た目が豪華で美しいかわりにほぼ結実せず、種子で殖やすことは困難です。
‘アナベル’のもとになった(原種の)アメリカノリノキも園内でご覧いただけるので見比べてみてはいかがでしょう。南園の牧野富太郎像を通り過ぎると右手に下る石階段がありますが、下る途中左側に植栽があります。当園のアメリカノリノキの花序はすべて両性花が占めていて、両者の見た目が違いすぎて同じ種とは思えないかもしれません。
モロコシソウ(サクラソウ科)


土佐の植物生態園の、本館窓口そばに植栽があり、黄色の花を下向きに咲かせています。本種はサクラソウ科オカトラノオ属に属し、近縁種は
オカトラノオやヌマトラノオ。見た目が違いすぎて同属と思えないのは私だけでしょうか。
和名は昔の人が中国の植物と思い唐土(もろこし:中国の古名)とつけたとされますが、中国本土に自生はありません。また、学名Lysimachia sikokianaの種小名は四国の、を意味しますが、国内では本州(関東地方以西)・四国・九州・琉球に分布するので四国特産種でもありません。高知県では海岸沿いや石灰岩地で見られます。
乾かすと全体に香りがするため、沖縄では古くから「ヤマクニブー」と呼んで香料や虫よけに利用されてきました。
広報課 西村佳明

