ザーバオバブが咲きはじめました(7/24更新)

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

ザーバオバブ(アオイ科)
温室にて7/24の午前中に撮影

温室にて、ザーバオバブが花を咲かせ始めました。バオバブというと、幹が太く、上下をひっくり返したような奇妙な樹形が有名で、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの『星の王子様』を思い浮かべる方も多いと思います。マダガスカル島には7種のバオバブの仲間が自生しており、このうちザーバオバブはマダガスカル島の内陸から南部にかけて分布し、現地では高さ30m に達し、樹齢1000 年を超えるものもあるとされています。

昨年(2025年)夜間の開花のようす

花は夜に咲き、甘い香りを放ちます。花の直径は15cm近くになるほど大型で、赤みを帯びた黄色の花弁と多数の雄しべが目立ちます。こんなにゴージャスな見た目の花は、翌朝には雌しべを残してポトリと落花してしまう一日花で、もっと長い期間アピールしたらいいのに、と思ってしまいます。

当園では温室がリニューアルオープンした2010年に本種の苗木を導入し、栽培のノウハウを蓄積してまいりました。昨年には自生地の環境を参考にした水・肥料の管理を行った結果、過去最高となる160 輪以上の花を咲かせることができ、今年も100個以上の蕾が確認できています。国内において本種の開花事例は極めて少なく、温室内での栽培によりこれほど多くの開花に成功した事例は類を見ません。

7/28(火)からは温室内に『ザーバオバブ観賞タワー』を昨年に引き続き設置し、地上8メートルの高さから本種を間近に見ていただけます。今年は8/11(火・祝)までの2週間限定で行いますのでぜひこの機会にお越しください。

ザーバオバブ観賞タワー

開催日時 / 7 月28 日(火) ~ 8 月11 日(火・祝)
      各日9:00 ~ 16:30
会  場 / 南園 温室
参加方法 / 予約不要、直接会場へ。
      参加費は無料(別途入園料必要)
      ※安全を考慮し、一度にタワーにのぼる人数は4 人まで

昨年(2025年)のザーバオバブ観賞タワーのようす

一日花ですので、毎日咲くと確約できるものではありませんが、花をご覧になりたい方は開園のできるだけ早い時間に温室へ直行されることをおすすめします。国内の他の施設ではめったに見られない希少な花をぜひお楽しみください。

ミョウガの栽培品種(ショウガ科)
淡黄色の一日花を咲かせる

ふむふむ広場で淡黄色の可憐な花をひっそりと咲かせています。回廊からふむふむ広場・土佐の畑エリアに向かってウッドデッキを降りていくと左側に植栽があります。地面すれすれに花を咲かせるので株元に注目してください。

中国南部原産の本種を野菜として栽培するのは世界でも日本のみだそうです。ここ高知県は野菜としての生産量は5,080トン、全国に占める高知県産のシェアは93.4%と、生産量・シェアともに全国一位(令和6年度高知県農業振興部 高知県農業の動向より)のミョウガの産地です。

草姿はショウガに似ている
花茎が地中を横走したあと花穂が地上に出る

普段皆さんが薬味に利用するのは花穂(花の集まり)で、花が咲く前に収穫されます。株元を少し掘ってみると、花茎が地中を横走したあと上に伸び、花穂が地上に出ることがわかります。

花穂の構造
花の構造

花穂は多数の苞が重なって肥厚しており、花は苞の間から伸長して開花します。半分に割ってみると開花に備える蕾も複数確認できました。花をじっくり観察してみましょう。前に突き出した唇弁は2つの雄しべ(仮雄しべ)が合着し弁化したものと考えられています。雌しべの先端(柱頭)と雄しべの葯は下を向いています。蜜を目当てに立ち寄った訪花昆虫は唇弁に止まって花の奥に進む際に、葯の花粉が頭や背中につきます。その状態で次の花に立ち寄ると今度はその花粉が雌しべにつき、受粉が成立します。

ちなみに、ミョウガを食べ過ぎると物忘れをする、という俗説がありますが、これはお釈迦様の弟子、周利槃特(しゅり・はんどく)にまつわる仏教説話が由来とされています。周利槃特は物覚えが悪く、自分の名前すら覚えられないほどだったといわれる人物で、お釈迦様の教えで修業を重ねて、最終的には悟りを開いたとされています。彼が亡くなった後、お墓からミョウガが生えてきたことから、転じて「ミョウガを食べると物忘れをする」という俗説が生まれたんだとか。物忘れを起こすことは一切ありませんので、当園のある高知県が誇るミョウガをぜひお召し上がりください。

ご来園の際にはミョウガの株元に注目して淡黄色のガラス細工のように美しい花をご覧ください。

オトギリソウ(オトギリソウ科)
展示館中庭にて7/24撮影 鮮黄色の花弁には黒点や黒色の線が入る

ただ今、展示館の中庭で鮮やかな黄色の花を咲かせています。オトギリソウを漢字で書くと弟切草。平安時代の鷹匠である晴頼が本種を使った「鷹の傷薬」の作り方を秘密にしていたにもかかわらず、それを知った弟がその秘密を漏らしてしまい、怒った兄に切り殺されたという伝説に由来します。全草を日に干したものを生薬「小連翹(しょうれんぎょう)」といい、煎じ液は止血、月経不順、鎮痛の目的で服用されるようです。

オトギリソウとその仲間は変異もあって、同定(種類を特定すること)に難儀することがあります。同定の重要なポイントに葉の黒点と明点を観察するというものがあるので、現在、同じく園内で花を咲かせているトサオトギリとの葉の違いを見比べてみましょう。

黒点の違い:オトギリソウ(左)とトサオトギリ(右)
明点の違い:オトギリソウ(左)とトサオトギリ(右)

黒点と明点はそれぞれ内包する成分に違いがあり、黒点は黒っぽい色素を内包することから黒っぽく見え、明点は精油や樹脂を内包することから光をかざすと透明な窓のように見えます。高知県内で見られるオトギリソウの仲間(オトギリソウ科)では、葉縁を含む葉身全体に黒点がつくのはオトギリソウのみです。花を観察する際には葉にも注目してみてください。

広報課 西村佳明