【11/1】見ごろの植物を更新しました

せっかくの3連休ですが、2日(土)にかけて西日本では警報級の大雨となる恐れがあるそうです。翌3日(日)から天気も回復するそうなので、日曜日は気温も落ち着き過ごしやすくなった園内の散策を楽しんでみませんか。

それでは、今週も園内をくまなく調査した「いまが見ごろの植物」をガイド担当がお届けします。

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

ヤナギノギク
キバナノツキヌキホトトギス
ヘツカラン
ゴヨウアケビ
ハナトリカブト
エッチュウミセバヤ

本館と展示館を結ぶ回廊では先週紹介したキイジョウロウホトトギスキバナノツキヌキホトトギス(ともにユリ科)の開花が終盤に入りました。ともに分布が限られる希少種でキイジョウロウホトトギスはその名のとおり紀伊半島に、キバナノツキヌキホトトギスに至っては宮崎県の尾鈴山にのみ自生します。花をご覧になりたい方は今週末にはお越しいただいたほうがよさそうです。

キイジョウロウホトトギス(2024年11月1日撮影)
キバナノツキヌキホトトギス(2024年11月1日撮影)

同じく回廊のフェンスにはゴヨウアケビ(アケビ科)が大きな果実をぶら下げています。アケビの語源は諸説ありますが、果実が熟すと縦に割れて白い果肉が顔を出す様子、つまり「開け実」に因るという説があります。本種はアケビとミツバアケビの自然交雑種とされていて、例えば、本種の葉を観察してみると縁が波状になっていて、葉にきょ歯がないアケビと、粗いきょ歯があるミツバアケビの中間的な特徴を示しています。11/1(金)現在、果実はかなり大きくずっしりとしているので間もなく割れるでしょうが、いざ割れるとカラスなど鳥が目ざとく見つけてすぐに果皮だけになってしまいます。

北園と南園を結ぶ連絡道では、着生ランの一種、ヘツカラン(ラン科)が数年ぶりに花を咲かせています。トビカズラ(マメ科)のそばに生えているクスノキの”うろ”にひっそりと生えていますのでぜひ見つけてみてください。和名は鹿児島県大隅半島の辺塚に産することに因り、九州南部から種子島を含む亜熱帯~熱帯アジアに分布する本種にとって、この場所が少し寒いのかそれとも常緑樹の下で少し暗いのか、はたまたその両方か、当園のこの株は毎年咲くものではありません。ぜひこの機会に花をご覧いただきたい植物です。

南園の蛇紋岩植生園ではヤナギノギク(キク科)が花盛りです。高知県には高知市郊外など蛇紋岩地(じゃもんがんち)が多くあり、蛇紋岩は貧栄養で崩れやすく、ニッケルやコバルトなどの重金属を多く含むために、この岩石が風化した土壌は多くの植物にとって生育に不向きです。

蛇紋岩の露頭(高知市近郊)

その一方で、不毛の地のようにも思える蛇紋岩地に生育する植物もおり、形態が特殊化したものや固有の種も多く確認されています(蛇紋岩植物)。本種は愛知県と静岡県、高知県の蛇紋岩地に見られる典型的な蛇紋岩植物で、牧野博士が高知市一宮で採集した標本をもとに、1898(明治31)年、「植物学雑誌」に学名と和名を発表しました。その後分類が見直され、現在ではヤマジノギクの変種とされています。

広報課ガイド担当 西村佳明

マークの植物名をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。

今週の見ごろの植物

ツクバネガキ(カキノキ科)
ヘツカラン(ラン科)
リンドウ(リンドウ科)
ヤナギノギク(キク科)
ヒメヒゴタイ(キク科)
ハナトリカブト(キンポウゲ科)
ニシキギ(ニシキギ科)
ダルマギク(キク科)
スイレン属の園芸品種セントルイスゴールド
ゴヨウアケビ(アケビ科)
コヒガンザクラ‘十月桜’(バラ科)
キバナノツキヌキホトトギス(ユリ科)
キイジョウロウホトトギス(ユリ科)
カンランの園芸品種(ラン科)
ガマズミ(ガマズミ科)
エッチュウミセバヤ(ベンケイソウ科)

今週の見ごろマップ

「見ごろ植物マップ&フォト」過去1年分もダウンロードできます。「見ごろカレンダー」のページで確認してみてください

→ここをクリック