ムクロジなど秋の果実が見ごろです(9/12更新)

ムクロジ Sapindus mukorossi Gaertn.

ムクロジ
9/11 南園にて撮影

はじめまして、広報・ガイドの宮田です。今回は西村に代わりまして宮田がブログをお届けいたします。初投稿ですので優しく見守ってください。
園内を散策すると多くの果実が目に入り、植物たちが少しずつ秋をお知らせしているように感じます。
連絡道から南園の牧野富太郎像へ降りる階段の途中でムクロジが見られます。よく見ると、まだ熟す前の青い果実が葉に紛れてたくさん実っています。ムクロジは今年6月13日、西村投稿のブログに登場しており、当時は花が咲き始めたタイミングでした。果肉を細かく刻んだものを水に浸して揉むと泡立ち、石鹸の代用品になるというブログの内容を思い出し、今回は温室内にあるシャンプーに関係する植物を紹介したいと思い立ったので最後までぜひお楽しみください。

他にも、黄色の丸い果実がたわわに実るマルバチシャノキや、赤く染まったガマズミ、クリは早いものでは熟してイガごと落下したものも見られます。まだまだ暑い日は続きそうですが『小さい秋』を探してみてはいかがでしょうか。ご来園の際は水分補給をしっかりして、本館や展示館など涼しいお部屋もありますので休憩を取りながらゆっくり散策してくださいね。

マルバチシャノキ
9/12 土佐の植物生態園にて撮影
ガマズミ
9/12 こんこん山広場にて撮影
クリ
9/12 ふむふむ広場にて撮影

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

ミズアオイ(ミズアオイ科)
ダイサギソウ(ラン科)
ツリガネニンジン(キキョウ科)
センニンソウ(キンポウゲ科)
ウコン(ショウガ科)
サネカズラ(マツブサ科)
ヒメハマナデシコ(ナデシコ科)
ハナショウガ(ショウガ科) Zingiber zerumbet (L.) Roscoe ex Sm.
開花の様子 8/14 撮影
苞から出る液体のようす 9/10 撮影

温室内にある世界最大のタケ「ゾウタケ」の向かいに「ハナショウガ」が見られます。夏に花茎をのばし、その先にまるで‟大きなつくし”のような穂状花序をつけます。写真にある卵型の緑色の部分は苞で、その間から薄いクリーム色の花を咲かせます。許可を得て苞を優しく握ってみました。すると重なり合う苞の間からとろみのある液体が出てきます。
昔、ハワイの先住民はこの液体を髪に塗ってシャンプーのように使用しており、そのことから別名シャンプージンジャーとも呼ばれ、ハワイ語では「アワプヒ」とも呼ばれています。手に付着した液体の香りを嗅いでみると微かにショウガのような爽やかな香りがしました。泡立つわけではないので実際には洗髪よりも、トリートメントのような使い方や香りを体につける目的で使われていたそうです。原産はインド・東南アジアで、ハワイ原産の植物ではありません。無人島だったハワイにポリネシア人がカヌーに乗って移り住んだのがハワイの先住民という訳ですが、その際に持ち込まれた植物はカヌープランツと呼ばれています。本種はその中の一種で、当時の人々の暮らしに必要な植物だったことがわかります。

シャンプーノキ(ゴマ科) Uncarina decaryi Humbert ex Ihalenf.
開花時期は6月頃
葉から出る粘液のようす 9/10 撮影
シャンプーノキの仲間の果実が「こんにちは、タネです。」にて展示中

温室の夏の人気者「ザーバオバブ」の後ろで枝をのばし、黄緑色の葉を茂らせている木があります。和名で「シャンプーノキ」と呼ばれているのは、その葉に秘密があります。
葉を水に浸し揉むと粘液が出てとろみが付くことが知られており、原産地であるマダガスカルの人々はかつて、これを使って洗髪したそうです。本当に粘液が出るのか見てみたい!動画のとおり葉を数枚、水に浸し揉んでみると、みるみるうちにサラサラの水がトロトロになりました。香りは少し青臭く、個人的にはいい香りではないものの、気になるほどではありませんでした。葉を揉んでいた手はしっとりしたような気がしました。こちらも泡立つものではないですが、今でも実際に洗髪に使う人もいるようで、本種の成分を配合したシャンプーも販売されているそうです。
また、果実の形状も面白く、中心から放射状に伸びるトゲには返しがついており動物の体に刺さり遠くに運ばれます。

展示館では企画展「こんにちは、タネです。」が開催中!
大地に根を張り動かない植物が、仲間をふやす知恵と工夫がつまったタネの移動方法「種子散布」のヒミツについて、本種の仲間を含むいろいろなタイプのタネを取り上げながら紹介しているので、ぜひご覧ください。

広報・ガイド 宮田 実幸

見ごろの植物

2025年9月 2週目

写真をクリックすると植栽場所や詳しい説明がご覧いただけます。

リコリス・スプレンゲリ(ヒガンバナ科)
シロスジアマリリス(ヒガンバナ科)
ダイサギソウ(ラン科)
フウリンブッソウゲ(アオイ科)
サンタンカ(アカネ科)
ミズアオイ(ミズアオイ科)
ヒメハマナデシコ(ナデシコ科)
ツリガネニンジン(キキョウ科)
センニンソウ(キンポウゲ科)
スダレギボウシ(クサスギカズラ科)
ナガバノコウヤボウキ(キク科)
スイレン属の園芸品種セントルイスゴールド
シロバナクズ(マメ科)
サネカズラ(マツブサ科)
オミナエシ(スイカズラ科)
ウコン(ショウガ科)
見ごろマップ

2025年9月 2週目

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