タカネバラが咲きました(4/30更新)

今週の見ごろの植物

毎週、園内を巡回しておとどけします。

タカネバラ(バラ科)
まるで園芸品種のようなピンク色の美しい花を咲かせる
葉柄にある托葉は幅広く耳状で縁には腺毛がつく

本館と展示館を結ぶ回廊の、黒いフェンスに絡まってピンク色の一重の花を咲かせています。タカネという和名の通り、本州と四国の高山に分布するバラの仲間で、四国では西日本最高峰の石鎚山や第二位の剣山を含む、標高1,400メートル以上の山地でのみ見られる希少な植物です。氷河期のころに南へ分布を広げた本種が、氷河期が終わって温暖になるにつれ、少しでも冷涼な北へ逃避する過程で、一部が本州や四国の高山に取り残されたと考えられています。当園がある五台山は標高130メートル程度と本種にとっては暑いはずですが、北園管理の職員の手厚い管理のもと毎年多くの花を咲かせています。ふだんはなかなか目にできない『高嶺の花』が非常に見やすいところに植栽されていますので、ぜひこの機会にご覧ください。

ヨウラクラン(ラン科)
アケボノアセビに着生している
花は直径1ミリほどで極めて小さい

回廊にあるアケボノアセビの樹皮に着生し、ひっそりと花を咲かせています。本州(宮城県以南)・四国・九州・琉球、朝鮮半島(済州島)、台湾、中国(福建省)に分布し、樹幹や岩上に着生して育ちます。花茎は10センチ弱で直径1ミリほどの花が無数についています。肉眼では認識できないくらい小さい花ですが、備えつけの虫メガネやマクロレンズで撮影すると小さいながらも、いかにもラン科の花をしていることに気づくはずです。

和名の由来は垂れる花序を瓔珞(ようらく=仏様や本堂の天井からぶら下がる装飾品)に例えたことに因ります。傍らには牧野博士が描いた植物図も展示しているので、見比べてお楽しみいただくのもオススメです。

カラスビシャク(サトイモ科)
ヘビが鎌首を上げたような特徴的な姿をしている
仏炎苞が花序を包む

連絡道では、ヘビが鎌首を上げたような特徴的な見た目の花を咲かせています。日本各地の道端や畑などで見られる多年草で、その特徴的な姿は仏炎苞とよばれる葉が変化した部分と鞭状に伸びる付属体からなります。

球茎を乾燥させたものを半夏(ハンゲ)とよび、薬用に用いる

本種は直径1センチ程度の球茎をもちますが、これを乾燥させたものを半夏(ハンゲ)とよんで薬用として用い、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)など漢方薬に配合します。球茎の窪みからヘソクリとよび、昔、お年寄りが草引きの際、球茎を集めて集落を訪ねる薬屋さんに売って小遣いにしたそう。そこから家計とは別に内緒でお金を貯める「へそくり」の語源となった、という説があります(諸説あり)。

ツクバネ(ビャクダン科)
開花した雄花
ツクバネと本種に寄生されるスギ

展示館の中庭文庫と常設展示室の間は段差があるものの通り抜けができますが、中庭から展示館の外へと通り抜けた先に、なかなか気づきにくいですが本種が植栽されています。本州から九州の山地の林下や林縁に生える落葉低木ですが、本種は半寄生植物という面白い特徴があります。葉で光合成をしながら、ほかの樹木の根に寄生して育つため、園内ではスギに寄生させているようです。雌雄異株で我々人間と同じように性別があり、花を見る限り現在開花している株はどうやら雄株のようです。和名の由来となった羽子板で衝く羽根に似た果実は拝めそうにありません。

広報課 西村佳明